過去ログ - 花丸「はなまるぴっぴは善い子だけずら」
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:11:08.68 ID:O8fGFwM8o
 寒さに弱い国木田花丸は、師走の風に身を震わせた。
温暖な伊豆にあっても、十二月の夕刻ともなれば風は冷気を帯びる。

「ずら丸は相変わらず寒いの苦手よね」

 隣を歩く津島善子が呆れたように言う。
善子は何気なく言ったのだろうが、相変わらず、の一言が花丸には嬉しい。

「善子ちゃんだって、冬になるたび早く夏が来て欲しいって言ってたずら」

 幼い日を思い出しながら花丸は言う。
こうして二人同じ学び舎に通える日が来るよう、クリスマスを迎える度に花丸は祈ってきた。
何年にも渡って重ねた祈りが、今年の四月に果たした邂逅によって漸く報われたのだ。

「善子じゃなくてヨハネよ」

「まーた始まったずらー」

 花丸は笑いながら善子の頭部を軽く手刀で打った。
善子が演じる『ヨハネ』という仮想のキャラクターにも、花丸はさしたる時を経ずに慣れる事ができた。
中身は同じ善子だと一見して分かったからだ。

 だが、人は欲張りなものだ。
花丸も再会のみでは満足できず、その先を望むようになっている。

「ところで善子ちゃん。クリスマスの予定は空いてるずら?」

「何よ、急に」

 花丸が何を言いたいかなど分かっているだろうに。
善子は身構えながら花丸を糾してきた。
本音を言えば、善子の方から訊いてきて欲しかった問いである。



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