過去ログ - 花丸「はなまるぴっぴは善い子だけずら」
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5:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:15:24.37 ID:O8fGFwM8o
「何一人で盛り上がってハードル上げてんのよ。
こんな田舎にイルミネーションなんてないわ。沼津駅に申し訳程度の電球が飾られる程度よ。
何にしても、静岡に、特に伊豆に雪なんて滅多に降らないし、積もらないじゃない」

 夢で溢れる花丸の心を、善子の現実的な意見が容赦なく冷やした。

「そうだけど」

 言われるまでもなく花丸とて分かっている事実だ。
雪を齎す冷気は日本アルプスと富士山によって勢力を削がれ、静岡にまで雪が届くのは稀である。
暖房器具の発達した現代では恩恵も薄く、却って花丸が降雪への憧憬を深める元となっていた。
ただ、口に出してしまう善子への落胆は隠せない。

「大体ね、ずら丸はイルミとか雪とかのムードより、
七面鳥とかケーキとかの食べ物の方が重要でしょ?
ほんと、昔から色気より食い気なんだから」

「ずらっ?」

 善子の追い打ちに、花丸は反射的に声を放っていた。

 善子は何の気もなく言ったのだろう。彼女の顔に邪気は一欠片も見当たらない。
だが花丸にとっては、善子からどう見られているのか、思い知らされた気分だった。
冷え込んだ外気とは対象的に、花丸の胸中は瞋恚に滾ってゆく。

「あのね、善子ちゃん。語尾にずらって付けちゃうし、自分のことをおらって言っちゃう時もあるけど。
それでも、まるだって女の子なんだよ?」

「へ?」

 花丸の剣幕に驚いたのか、善子は間の抜けた顔を浮かべている。
対して、花丸の激情は止まらない。
栓をなくした蛇口のように、口から奔流となって溢れ出てゆく。

「なのに善子ちゃんは分かってくれないずら。
乙女心を大切にしてくれないずら」



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