5:名無しNIPPER[saga]
2016/12/26(月) 21:20:24.06 ID:ZK6xe4Abo
「ところで、本日はどのようなご用件で?」
「あっ、すいません。本日はこちらを……」
封筒から、雪美ちゃんの写真を見せるとお祖父さんは息を呑むようにその写真を見つめて、「よく撮れているな……」と呟いた。
「ですよね!?」
「えぇ……。実に雪美らしく撮れていますよ。これを撮ったカメラマンはきっと……」
「すいませーん」
玄関の方から、その言葉の先を遮って来訪者の声が聞こえてきた。
お祖父さんは後ろの本棚からアルバムを手に取って、私の前に置いた。
お祖父さんは「よろしければご覧になって下さい」と言い残し、来訪者のほうへと向かって行った。
アルバムの背表紙には“雪美の成長記録”と書かれていて、一ページずつ捲ってみると色んな雪美ちゃんの姿がそこに在った。
お遊戯会で人魚姫を演じている姿や、七五三の様子、クリスマスに小さな黒猫を貰って、その黒猫と遊んでいる様子など、どれもとてもいい写真で、個人的に何枚か貰いたいくらいだ。
夢中になって写真を見ている間に、時計の長針は気が一周半も回っていた。
写真を見ていく中で、気になることが一つだけあった。
雪美ちゃんの両親らしき人物が一枚も写真に写っていないのだ。
産まれてすぐの写真もあったのだから、産まれてすぐに亡くなってしまったなんてことはないだろうし……。
「すいません。お待たせしてしまって」
聞こうか聞かないか、迷ったが結局私は聞くことにした。
雪美ちゃんは時々ふと寂しそうな表情を浮かべることがある。
それは両親がいなくなったことで感じている寂しさならば、どうにかしてあげたいと考えたからだ。
「あぁ、彼は……
お祖父さんは少し言い淀んで、ゆっくりと口を開こうとするとまたも、来訪者によって遮られた。
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