過去ログ - 輿水幸子「クリスマスと小箱」
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2: ◆9CUtNS6CZQ[saga]
2016/12/26(月) 21:37:43.10 ID:nIhBSUOf0
「・・・遅いですね」

12月も25日、クリスマスの日に、輿水幸子は事務所で1人寂しく呟いた。
クリスマス特番の撮影も終わり、1人でタクシーに乗りここに戻ってきたのには理由があった。

クリスマスプレゼントだった。一般的にこの日はサンタクロースがいい子にしていた子供たちにプレゼントを配る日であり、
特に彼女のような少女が誰かに贈り物をするという義務はない。

昨年のクリスマスの日、彼女はサンタ衣装でのモデル撮影をしたということもあり、いつも彼女をいい意味でも驚かせる担当プロデューサーに
サプライズをして逆に驚かせようと巨大な箱に入り「プレゼントはカワイイボクですよ」と驚かせる手筈だったのだが、酸欠からか寝てしまい、そのうちに箱ごと別の位置に運ばれサプライズは失敗してしまったことがあった。

そんなことがあって一年間、別な手でプロデューサーを驚かせてみようと試行錯誤したものだったが、どうにもプロデューサーの方が何枚か上手なようで、
逆に彼女が驚かされる日々が続いたのだった。彼女はプロデューサーの鼻を明かすことが出来ず少し歯がゆかったが、それと裏腹にどこか驚かされることを楽しんでいる自分がいることをなんとなく自覚していた。


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