過去ログ - 神谷奈緒「トライアド・ラプソディー」 【ウルトラマンオーブ×シンデレラガールズ】
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/26(月) 22:10:47.20 ID:J80t3oZZ0

   ◆


 奈緒は街を歩いていた。

 道に並ぶ店の数々からは橙色の光が溢れ出し、情緒がどこか異世界めいた風景。
 広場の中央には背高の樅の木が置かれ、色とりどりに飾られている。

奈緒「…………」

 煌びやかなイルミネーション。どこからともなく聴こえてくるクリスマスソングのメロディー。
 (ああ、そうか……)と奈緒はぼんやり思い出す。今日は……。

奈緒(……今日?)

 不意に湧きあがった疑問が、頭に亀裂を入れた。
 視界がぼやけるような気がする。いや違う。「世界」そのものがぼやけている……。

奈緒(……)

 これは……と、感付く一瞬前のことだった。
 ぐにゃりと、ぼやけかけていた「世界」がねじ曲がった。

奈緒(…………?)

 視界がぐるっと回転する。夜空が映る。真っ暗な夜空に渦を巻く黒雲が見える。

「私は、夢幻の鳥」

 吐き気にも似た感覚が頭を襲う。自分はこの「世界」にいては駄目だ……そんな危険信号。
 逃げなければ……だが逃げては駄目だ……逃げたくない……まだここにいたい……。

 一瞬の間に繰り返される理性と欲望の対立。それでも「世界」は加速度的に歪んでいく。

「お前の大切な人が死ぬ」

 黒雲の中心から覗く女の顔。雲よりも、夜よりも真っ黒な肌。額に妖しく輝く結晶体。そして、紅く光るその双眸。

「近い内に」

 彫刻のような唇がぬるりと動く。今にもその端から唾が垂れてきそうなほどに、滑らかに。

「お前の大切な人が、死ぬ」

奈緒(死ぬ……)

奈緒(大切な人が……)

奈緒(死ぬ…………)

奈緒(――――――――)



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