13:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/28(水) 21:43:23.77 ID:Hhhi1HzW0
大丈夫、問題ない、逃げられるはず。
一歩、また一歩と後退するごとにアレとの距離が離れていく中、曲がり角まであと少しというところで、砂利を踏んでしまいました。
血を啜るのに夢中だった女の動きが止まります。
まるで、時間が止まってしまったかのようでした。
人間とは思えない猟奇的な犯行を行っていた女は、ゆっくりとこちらに振り返りました。
花陽「あっ、ああっ……」
??「見たのね」
女の目は真っ赤に染まり、にやりと笑った口元からは二本の牙がのぞいています。
人並み外れた迫力に圧倒され、私は腰を抜かしてしまいました。
??「いずれ迎えに行こうと思ってた……でも、見られたのなら仕方ない」
花陽「い、いや、来ないで……」
??「九人いるんだもん──別に一人ぐらい食べちゃってもいいよね」
花陽「いやああああっ!!誰か、誰か助けてえええっ!!」
私が叫び声を上げたと同時に、髪の長い女は襲い掛かってきました。
死を感じたからかどうかはわかりませんが、女の動きはまるでスローモーションの映像を見ているようでした。
希望的観測かもしれませんが、足が動けば避けることができたと思えるくらい、女の動きは遅く、俊敏性に欠けていました。
ですが、それも動けたらの話。
へたり込んでしまった私に覆い被さるよう馬乗りになった女は、首筋に噛みつこうとしてきます。
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