過去ログ - 花陽「死を視ることができる眼」
1- 20
982:名無しNIPPER
2016/12/29(木) 03:05:31.61 ID:XNjGoQ3bO
/9
病院から何事もなく退院したあと、私は普段より少し遅れて登校することになりました。

いわゆる、遅刻寸前というやつです。

普段は朝練に出てるからこんなことはないんだけどなあ。

遅刻したくなくて焦る気持ちと、早くみんなの待ってる学校に行きたいという気持ちとが重なり合って、自然と駆け足になります。

ですがこちらの気持ちなんて配慮することもなく、信号の色は変わるものです。


花陽「……もう、タイミング悪いなあ」


広くて見晴らしの良い交差点前で信号待ちをしていると、向こう側の方に見知った人物がいました。

いえ、人物と呼ぶのは間違いだったかもしれません。


??「…………」


──普通の人なら見落としていたかもしれない距離。

視力の悪い人なら、その表情をはっきりと確認するのは難しかったのではないかと思います。

でも、今の私にははっきりと視えました。

黒髪で、髪が背中にかかるぐらい長くて、女性で、肌が白くて、左腕がなくて──

ニヤリと笑みを浮かべた口元には、鋭い牙が二本。

終わったはずなのに。

終わらせたはずなのに、彼女は向こう側から私のことをじっと見つめていました。

あの路地裏で人を食らっていた化物は、昼間の交差点に平然と姿を現したんです。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/1181.11 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice