過去ログ - 茄子「にんじんびーむ♪」
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9:名無しNIPPER[saga]
2016/12/31(土) 13:47:00.48 ID:tFwGSLOi0
 奈々さんの説明というか、釈明によると、以前、プロデューサーさんとは同じアパートのお隣さん同士だったということでして。

 しかもプロデューサーさんが母子家庭だったこともあって、小学校に上がるまでの間は、お母さんに代わってプロデューサーさんの面倒を見ていたようなのです。ごはんはもちろん、一緒にお散歩したり、お昼寝したり、絵本を読んだり、お風呂に入ったり。ほかにも、いろいろ。けしからん。

 そういうわけで、プロデューサーさんは奈々さんにべったりでした。知っている人が奈々さんだけ、というのもあるかもしれませんが、それにしても甘えすぎのような気もします。というか仲良すぎですよね。ああ、ほら、あんまりにもべたべたしてるから……みんな殺気立ってますよ? 奈々さんもそれとなくプロデューサーさんを引き離そうとしてますけど、プロデューサーさんはじゃれ合いとしか思ってないようですし……これじゃあ子供たちの夢を叶えた意味がありません。

 彼女が一体どういう魔法を使ったのかはわかりませんが、奈々さんとプロデューサーさんが知り合いを通り越してほぼ姉弟だった、というのは誤算もようでした。事務所ではプロデューサーさんと一番付き合いの長い、アシスタントの私でさえ知りませんでしたし。というかプロデューサーさんも奈々さんについては特に何も言ってなかったので、もしかすると本人でさえ覚えてないのかもしれません。あの様子だと、奈々さんは20年近く見た目が変わってないようですし。本当に人間なのでしょうか……恐るべし、ウサミンパワー。

 無邪気な顔でころころと笑うプロデューサーさんとは裏腹に、会場の空気は不穏なものになってきました。奈々さんに抱き着くプロデューサーさんと、困ったように笑う奈々さんに、それを取り巻くアイドルたち。それは例えるなら、オオカミの群れの中心で、お姉ちゃんウサギの気苦労も知らずに、ただ無邪気にはしゃぐ弟ウサギといったところでしょうか。プロデューサーさんが気遣いを覚えるのは、もっと成長してからのようです。

 さて、こんな時に助け船を出すのもアシスタントである私の役目でしょう。パーティーの料理も順調に減ってきたところですし、ここでホールケーキを投入します。愛梨ちゃんとかな子ちゃんの二大巨頭に資金無制限で作っていただいた結果、おびただしい数のケーキが焼き上がりましたが……この人数なら何とかなるでしょう。ちなみにお二人はクリスマスを家族で過ごされるとのことで、事務所にはおられません。

 カートで入場してきたケーキを前に、オオカミたちの視線がウサギさんからケーキに集中します。すでに切り分けられた状態ですので、ちょっとしたケーキバイキングといったところでしょうか。これには牙をむき出しにしていたオオカミさんたちもにっこりです。

 空気が和やかになったところで、今度はシアターセットを運び入れました。ケーキを食べつつもプロデューサーさんを虎視眈々と狙い続ける凛ちゃんや留美さんたちに設置を手伝ってもらい、壁の一面をスクリーンとして、特別編集した今年のライブ映像を上映します。

 事務所の照明が暗くなって、曲のイントロが流れ始めると、波が引くようにおしゃべりが小さくなっていきました。たくさんのケーキを前に荒ぶる龍が如く興奮していたプロデューサーさんも、スクリーンを見上げてじっとしています。裏方に徹していた私も、これでようやくケーキにありつけるというものです。



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