過去ログ - 蘭子「芳乃ちゃんが闇に飲まれた」
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11:名無しNIPPER[saga]
2017/01/03(火) 04:20:55.83 ID:iDHzawPeo
突然の出来事で、一瞬わけがわかりませんでした。
よろめき、倒れそうになる中で、私の視界に映ったのは、いつの間にか目の前に移動していた芳乃ちゃんの後ろ姿。
私と同じように後ろへ引っ張られ、つんのめっている蘭子ちゃんとユッコちゃんの、驚いたような表情。
瞳を灰色に濁し、身体を強く震わせ、膝から崩れ落ちそうになっている歌鈴ちゃんの、死人のように真っ白な顔。
すべての時間が止まってしまったように、それらの風景が私の記憶に焼き付けられました。
そして、その静止した世界で、芳乃ちゃんだけが、ゆっくりと歌鈴ちゃんに歩み寄り(実際は走って駆けつけていたのでしょうけれど)
そっと彼女の額に手を添え、何かを念じるようにぶつぶつと言葉を唱えているのが見えたのです。
次の瞬間、暗転するように世界がぐるりと回り、私は地面に手をついていました。
「きゃっ!?」
その時、私たちの頭上を何か恐ろしいものが通過していくのが分かりました。
やや遅れて、突風。
参拝客たちのささやかな悲鳴と、周囲の木立が風にきしむ音。
次に私が顔を上げると、歌鈴ちゃんの背後、低い空に、神社の石灯篭の上半分がふっとんで、くるくると舞っているのが見えました。
歌鈴ちゃんが芳乃ちゃんの腕の中に倒れこむのと、池の中に墜ちた灯篭が巨大な水柱を上げたのは、同時でした。…………。
…………。
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