過去ログ - 「ベル凛の壁」
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1: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:10:01.63 ID:ZVvkRN9Y0
デレマスSSです。
書留あり

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2: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:10:43.20 ID:ZVvkRN9Y0


加蓮「え!次のロケって海で撮影なの!」

あたしの声が事務所のプロジェクトルームに響き渡る。それほどあたしは期待に胸を高ぶらせていたのだ。
以下略



3: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:11:15.77 ID:ZVvkRN9Y0
加蓮「もしかしてさ、撮影の衣装って……」

P「そのもしかしてだ!水着だぞ!水着!」

加蓮「やったー!」
以下略



4: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:14:55.01 ID:ZVvkRN9Y0
『Do you know venus? Be your venus』

ヴィーナスシンドロームの歌がプロジェクトルームに響き渡る。

P「おっとすまん、美波から電話だ。」
以下略



5: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:15:41.76 ID:ZVvkRN9Y0
P「……ああ、ラブライカの新曲か。準備は順調に進んでるぞ。テーマは騎士と姫だ。……違う、姫騎士じゃない。……くっ殺でもない。まあ聞け、今回は衣装に特にこだわっている」

私はこの喜びを誰かに伝えたくて、凛に電話をかけることにした。

加蓮「もしもし、凛?加蓮だけど」
以下略



6: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:16:19.94 ID:ZVvkRN9Y0
P「そうだ、アーニャのクールさと可愛さを両立するには騎士の衣装が一番だと思ってな。衣装さんにお願いしたんだよ。」

加蓮「次の撮影でさ、あたし水着を着ることになったんだよ!水着だよ、み・ず・ぎ!……は?川島さん?どうしてそこで川島さんの名前がでてくるの?……だから嘘じゃないって、本当だよ。Pさんに聞いてみる?」



7: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:16:59.53 ID:ZVvkRN9Y0
P「美波はお姫様という方向性はいつも通りではある。しかし美波はただ守られるだけの姫じゃない。おしとやかさだけでなく、自分で道を切り開く強さを持っている。そこのところを強く衣装さんに伝えたんだ。その結果――」

加蓮「ねえねえPさん、凛が疑い深くってさ。言ってやってよ、今度の撮影の衣装は何なのか」



8: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:17:33.92 ID:ZVvkRN9Y0
あたしはPさんに携帯を近づける

P「しょうがないな……取り込み中だから一度しか言わないぞ。よく聞けよ、今度の衣装はなんと水着だ!」

Pさんの声が部屋に響く
以下略



9: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:18:06.19 ID:ZVvkRN9Y0
P「すまん、美波……ちょっと加蓮が……おい美波?……駄目だ切れてる」

加蓮「それじゃあねー」

P「互いに電話が終わったか……そういえば加蓮。撮影用の水着はこっちで用意すればいいか?それとも自分で用意するか?」
以下略



10: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:29:36.39 ID:ZVvkRN9Y0


美波「聞いて、アーニャちゃん。これは仕方のないことなのよ」

346カフェの一角で、私とアーニャちゃんはラブライカの新曲について相談をしていた。
以下略



11: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:30:25.23 ID:ZVvkRN9Y0
美波「私も最初聞いたときは驚いたわ。でもPさんだもの、きっと何か考えがあるはずよ」

ほんとうに考えがあるのかはわからないが、私は自分にも言い聞かせるようにそう答える。

アーニャ「アーニャには意味が分かりません。どうして美波のおしとやかさと強さを表現したら衣装が水着になりますか?お姫様じゃなかったのですか?」
以下略



12: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:31:14.49 ID:ZVvkRN9Y0
アーニャ「私の衣装だけ拘って、美波の衣装は手を抜いたとしか思えません。そんなの不公平です!」

確かに騎士と水着の姫じゃミスマッチングだ。でも――

美波「アーニャちゃん!Pさんのことを悪く言っちゃダメよ!」
以下略



13: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:32:06.29 ID:ZVvkRN9Y0
アーニャ「美波はアーニャとプロデューサーどっちの味方ですか?ラブライカとして共に歩んだ蓄積は嘘でしたか?」

美波「……」

私は俯く。答えに窮したのではない。答えは決まっているが、答えてはいけないと思ったからだ。
以下略



14: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:32:44.24 ID:ZVvkRN9Y0
アーニャ「!……もういいです美波。……ごめんなさい」

美波「え、どうしてアーニャちゃんが謝るの?」

アーニャ「一番つらいのは美波なのに、アーニャ、美波を責めるようなことを言ってしまいました。」
以下略



15: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:33:12.54 ID:ZVvkRN9Y0
アーニャ「アーニャ、少し頭を冷やしてきますね」

アーニャちゃんが入り口に向かって駆け出す。その横顔は涙で濡れていた。

どちらが大事かなんて答えは最初から決まっている。
以下略



16: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:44:06.08 ID:ZVvkRN9Y0


346カフェには柱とパーテーションに囲まれたテーブル席がある。

他方からの攻撃に備える要塞のように、他の客や店員の視線が遮られているこの席は、店の中に存在する特異な空間のように思えた。
以下略



17: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:45:13.00 ID:ZVvkRN9Y0


346カフェには柱とパーテーションに囲まれたテーブル席がある。

他方からの攻撃に備える要塞のように、他の客や店員の視線が遮られているこの席は、店の中に存在する特異な空間のように思えた。
以下略



18: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:45:50.32 ID:ZVvkRN9Y0
私もテスト前にはこの席を利用する。

いつの事だったか私はこの席で冷戦期の世界史を勉強していた。

ぼんやりと世界地図を眺めていたその視線は、とある国で釘付けになった。
以下略



19: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:46:42.38 ID:ZVvkRN9Y0
とある日。ソロでの仕事が終わり、私は346カフェに立ち寄った。

菜々「凛ちゃん、いらっしゃいませ!お仕事お疲れ様です!」

凛「菜々さんもお疲れ様。」
以下略



20: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:47:19.00 ID:ZVvkRN9Y0
凛「さすが菜々さん。よくわかったね」

菜々「印象に残ってますからね〜。菜々は当時ベルリンの壁が崩壊する映像を見て、一つの時代の終わりを感じた物です……って菜々は永遠の17歳ですから、当時の事なんて伝聞でしか知りませんけど!」

凛「う、うん。そうだよね……」
以下略



21: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:47:53.38 ID:ZVvkRN9Y0
菜々「実はですね、当時の報道官の誤解が原因なんですよ」

凛「誤解?」

菜々「はい。東ドイツの報道官ギュンター・シャボウスキーが原稿にあった東ドイツ市民の西側諸国への旅行の“規制緩和”を“今から完全に自由化された”と誤解して報道してしまったんです」
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