過去ログ - スピアー♀「ご主人様、お誕生日おめでとうございます」 ご主人「ありがとな」
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13:1 [saga]
2017/01/09(月) 00:52:19.80 ID:PM/TLxAu0

 男のその薄い灰色がカーテンの隙間から覗く淡い光を放っている月の光で輝く。

 スピアーの赤い瞳も照らされて小さく平頭に並べられた複眼もはっきりと見えるようになっている。
 
 スピアーは呼ばれてから数秒自分を見つめる男に少し首を傾げる。男は首を傾げているスピアーを気に留めることもなくただ見つめていた。
 
 「や、やっぱり怒ってるのかなぁ」とスピアーはヒーンと心の中で泣く。


 だが、男が次にとった行動によってスピアーの脳内回路が凍り付く。 
 


 「・・・え・・・」


 男はスピアーの二の腕部分に手を伸ばして軽く握るとスピアーを自分の方へ寄せた。

 スピアーは突然のことで思考が働かず、されるがまま男の方へ引き寄せられる。男はスピアーを引き寄せると、そのクリーム色の淡黄色の体を自身にしっかりと当てるようにして抱きしめた。

 スピアーは抱きしめられたと言う行動に、少ししてから顔を目よりも真っ赤に染めて桃色の煙が頭から吹き出した。


 「マ、マシュタ〜?なにやっひぇ〜?//////」

 「・・・」


 男はスピアーの言葉に返答せずただスピアーを抱きしめる。男の体温がスピアーに渡っていき、スピアーの冷え切っていた無機質な体を温める。

 その体温を感じるにつれて段々とスピアーの鼓動が不思議と収まっていく。それによってスピアーは停止していた脳内回路を回らせて再び問い掛ける。


 「マ、マスター・・・そ、その、何で・・・抱きしめて・・・?/////」

 「・・・口じゃ・・・上手く伝えられないから、さ・・・」


 男は少し腕の力を弱めてスピアーを見つめる。スピアーはその男の目を見つめたまま話を聞いてくれていた。


 「・・・俺も・・・お前のこと・・・好きだった」

 「・・・。・・・。・・・。・・・ぇ・・・」

 「だけどさ・・・怖かったんだ。お前が・・・傷つくと思って・・・」

 
 男の目には涙が浮かんでいた。

 それは男として情けを見せてしまう悔しさから出てくる涙なのか、相棒が自分のことを好きでいてくれた嬉しさから出た涙なのか・・・

 それはスピアーにも、男自身にもわからなかった。段々と男の目には涙が溜まっていって目尻から頬、顎を伝って布団に雫となって落ちる。

 落ちた透明の雫は布団に落ちてシミをつくる。その後にも一滴、また一滴と雫が落ちてきてシミが広がっていく。

 
 「・・・ありがとう、スピアー。・・・ありがとう・・・」

 「・・・ますたぁ・・・」

 
 スピアーも自分の頬に伝う熱い何かを感じていた。涙だ。これは悲しくてないてるんじゃない、嬉しくて泣いていると自分自身でもわかった

 男がまたスピアーを抱きしめると今度はスピアーも自ら抱きしめる。

 これから、彼らにどんな事が起るのかは私にもわからない。この命が続く限り、私はこのスピアー♀SSを書き続けていくつもりだ。



 私は思う

 
 サン=テグジュペリ「人間の土地」で「愛するということは、おたがいに顔を見あうことではなくて、いっしょに同じ方向をみることだ」と


 言われている。


 だが、私の愛するとは「お互いに見つめ合って、抱きしめ合い、キスをするのではなくて表面積の広い頬を触れさせ合う」ことだと



-fin-


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