過去ログ - 【ポケモン】ヨウ「ブログを始めてみた」
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52: ◆RtvFmbZL1.[saga]
2017/01/08(日) 22:07:37.08 ID:wExBJqFy0
 
 エーテルパラダイスに着いたのはお昼前くらいだった。
 この場所に来るのもずいぶんと久しぶりに思えるが、実際には2ヶ月も経っていない。
 そしてこの場所での思い出は、大体が厄介ごとだ。機会があればブログに書いてもいい。

 船着場からエレベーターに乗り、エントランスを抜けて、宮殿のようなお屋敷に通されると、
 果たしてそこにはグラジオが待っていた。
 グラジオはエーテル財団代表のルザミーネさんの息子で、『彼女』の兄でもある。
 今は病床に伏せっている母の代理として働いている。財団代表の多忙さはハウ達から聞いていたけど、
 心なしか以前より痩せたようにも見えた。

 グラジオとの久しぶりの再会だったけど、僕達はしばらくの間無言だった。
 だってそうだろう? 一体全体、何を話せばいいのか。第一、呼びつけたのは向こうの方だ。

 気まずい沈黙がずっと続くように思えたけど、やがて観念したように、グラジオが口火を切る。

「単刀直入に言う」と前置きしてからグラジオは、僕にカントーへ行く気はないかと言う。
 頭を殴られたような衝撃だ。よりによって、僕の故郷であり、『彼女』が旅立った先のカントー地方へ
 行くつもりはないか、だなんて聞かれたんだ。

 グラジオの言い分はこうだ。
「ブログにいくら言い訳を並べ立てたところで現状は変わらない。
 妹に会って詫びを入れるなりなんなり、好きなようにして来い。
 お前がそのつもりなら、飛行機のチケットくらい手配してやる」
 
 正直、グラジオの言うことは正しい。『彼女』にはやるべきことがある。だから僕が動くべきだ。
 僕のためにそこまでしてくれることには感謝しかない。

 でも、それでも、僕はその提案に即答することはできなかった。
 その場でできることは「考えさせてくれ」と言うことだけだった。
 
 グラジオは何か言いたげだったが、結局それ以上追及しなかった。
 


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