6: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/01/04(水) 22:48:58.47 ID:Jsek1YGi0
趣味:時代劇鑑賞、忍者グッズ収集、撮影所巡り。
などとアイドル事務所に送ったプロフィールには書かれているそうだが、本物の忍びである私からすれば、子供っぽい忍者ごっこだ。
そして私はこれから浜口あやめになりきるにあたって、この忍者ごっこを続けなければならないのだ。
7: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/01/04(水) 22:56:40.14 ID:Jsek1YGi0
「…………ぬるい」
浜口あやめになって3日がたった。
私の影武者任務は順調に遂行されている。
8: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/01/04(水) 22:57:24.18 ID:Jsek1YGi0
女子寮、事務所、そして学校、すべてにおいて人間関係を含めて大きな問題は発生する様子もない。
強いていうなら、事務所のプロデューサーはオーディションの時に浜口あやめと会っているはずなので何か違和感があるかもしれないと警戒したが、気付く様子もない。
もっとも、一回オーディションで出会っただけで、おそらく浜口あやめ本人も緊張した状態だったろうから今の私と雰囲気が違っていてもおかしいとは思わないだろう。
9: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/01/04(水) 22:57:56.59 ID:Jsek1YGi0
「頭領はどうして、私にこのような任を?」
初任務とはいえ、これでは里で修行していた頃の方がまだきつい。
もしかして頭領は私の実力を軽んじているのだろうか。
10: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/01/04(水) 22:58:45.27 ID:Jsek1YGi0
浜口あやめ7日目。
アイドルとしてのレッスンが始まった。
正直な話、こちらについてはあまり警戒をしていなかった。
11: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/01/04(水) 23:00:07.19 ID:Jsek1YGi0
ボーカルレッスン。
変幻自在に声真似ができる私なら、CDの音源を聞いたままに歌うことが可能だ。
なので、雰囲気を似せる程度で歌ってみた。
12: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/01/04(水) 23:01:01.41 ID:Jsek1YGi0
ビジュアルレッスン。
老若男女、望むままの姿に変装できる私なら、どんな笑顔だろうと泣き顔だろうと簡単に。
「浜口、照れすぎだ。もっと肩の力を抜け」
13: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/01/04(水) 23:02:16.96 ID:Jsek1YGi0
ダンスレッスン。
「浜口、音を無視するな」
「浜口、小さくまとまるな」
14: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/01/04(水) 23:04:31.35 ID:Jsek1YGi0
次の日も。そのまた次の日も。その次の次の日も。
何かの間違いだと思った。
「もっとはっきりと声を出して」
15: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/01/04(水) 23:06:27.75 ID:Jsek1YGi0
浜口あやめになって何日たっただろう。
途中から数えるのをやめてしまった。
数えれば、それだけ私が不甲斐なかった日数を数えることになって辛かったから。
16: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/01/04(水) 23:07:10.02 ID:Jsek1YGi0
何度も何度も聞こえてくる声から逃げるように、頭を抱える。
それはできない。
それをしてしまったら、私は本当に何もできない子になってしまう。
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