過去ログ - 終わらない物語が嫌いな僕と余命が短い女の子の話
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◆eZMycVsOYY
[sage saga]
2017/01/07(土) 23:29:40.47 ID:6hLdimli0
正直なところ、僕はそういった、どうなるかわからないものについて予想されるのが苦手だった。結末なんて作者しかわからないんだし、あれこれと考えるのは面倒くさいし、回答を求めないで欲しい。つくづく僕は嫌なやつだと思った。
相槌も適当にうって、僕は大学の宿題があったことをぼんやり思い出した。まだ期間はあるが、これを理由に帰ろうと思った。
「そろそろ家に帰るね」
「え、香子さんに会わなくていいんですか」
「うん、また来るし」
以下略
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◆eZMycVsOYY
[sage saga]
2017/01/07(土) 23:34:42.16 ID:6hLdimli0
どれくらいの人が見てくれてるのかわからないけど、ゆっくり書き込んでいく予定なので多分期間が長くなると思います
26
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◆eZMycVsOYY
[sage saga]
2017/01/07(土) 23:42:20.96 ID:6hLdimli0
「わかりました。香子さんには伝えておきますね」
そして僕は病室をあとにした。長い廊下を歩いていると、偶然母を見かけた。良かった、帰る前に会えた。すると、母も僕に気づいたのか、ひらひらと手を振った。
「今帰るところだったんだ」
「あら、そうなの。芽衣ちゃんと話せた?」
「うん」
以下略
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◆eZMycVsOYY
[sage saga]
2017/01/08(日) 09:57:08.44 ID:O1Z9DSgO0
余命。
余命というか、命について深く考えたことがなかった。どこか自分は特別で、ニュースで見るような通り魔に襲われる事も、交通事故に巻き込まれる事はないだろうと考えていたからだ。母も父も生きていて、祖母も祖父も生きている。『死』という存在があまりに遠く感じられたのだ。彼女はそんなに重い病気だったのか。確かに最初は病弱そうに見えたが、彼女と話すうちにそんな印象は薄れていた。けれどよく考えてみれば、花の女子高生が『高校には行ってないも同然』というのだから大きい病気なんだろう。
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◆eZMycVsOYY
[sage saga]
2017/01/08(日) 09:58:21.11 ID:O1Z9DSgO0
余命。
余命というか、命について深く考えたことがなかった。どこか自分は特別で、ニュースで見るような通り魔に襲われる事も、交通事故に巻き込まれる事はないだろうと考えていたからだ。母も父も生きていて、祖母も祖父も生きている。『死』という存在があまりに遠く感じられたのだ。彼女はそんなに重い病気だったのか。確かに最初は病弱そうに見えたが、彼女と話すうちにそんな印象は薄れていた。けれどよく考えてみれば、花の女子高生が『高校には行ってないも同然』というのだから大きい病気なんだろう。
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◆eZMycVsOYY
[sage saga]
2017/01/08(日) 10:00:08.12 ID:O1Z9DSgO0
連投すいません
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◆eZMycVsOYY
[sage saga]
2017/01/08(日) 10:14:43.03 ID:O1Z9DSgO0
僕がもし余命三ヶ月だったとしたら、絶対に未完結の小説は読まないだろう。最終回はどうなるんだ、と思い残したまま死にたくないから。そんなことを考えながら自宅へ帰った。家のカレンダーを見て、今が8月の末だということを確認した。
彼女の余命はどうすることもできない。だけど、せめて僕よりも年下のあの子に、僕に笑いかけてくれたあの子に、両親と複雑な関係にありそうなあの子に、幸せを感じて欲しいと思った。
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◆eZMycVsOYY
[sage saga]
2017/01/08(日) 10:19:50.59 ID:O1Z9DSgO0
9月。前に病院に訪れたのが8月の末だったから、一週間ちょっと経っている。僕は一気に大学のレポートを終わらせ、彼女に何ができるのかを考えてみた。
彼女は本が好きだから、本を持って行こう。たしか以前彼女が僕に見せた漫画の続きが売っていたはずだ。それから彼女用のお見舞いの品を。それから・・・なんだ。15歳の女の子が喜ぶものなんか知らないぞ。それでも本があればとりあえずいいだろう。
そして三度目の病院訪問をした。
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◆eZMycVsOYY
[sage saga]
2017/01/08(日) 12:25:42.25 ID:O1Z9DSgO0
病室に入ると、母と彼女がいた。
「久しぶり」
「うん、久しぶりね。忙しかったの?」
「まあ、ちょっとね」そう言いながら母にお見舞いの品を渡した。
それから彼女の方を見て、彼女用のお見舞いの品と買ってきた漫画を差し出した。
以下略
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◆eZMycVsOYY
[sage saga]
2017/01/08(日) 12:31:50.02 ID:O1Z9DSgO0
「これ、私に・・・?」
「うん。もしかして新刊持ってた?」と言うと、彼女はぶんぶんと首を横に振り、
「いえ。いつもはおばあちゃんが買ってきてくれてるので。薫さんにもらえて嬉しいです」
良かった。彼女がもし持っていたら返品しに行くところだった。
「こちらこそ、藍野さんに喜んでもらえて嬉しいよ」
以下略
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◆eZMycVsOYY
[sage saga]
2017/01/08(日) 12:37:59.48 ID:O1Z9DSgO0
「うん、わかったよ。芽衣」そう言うと、彼女は嬉しそうに笑った。
「あら、いつのまにそんな仲良くなってたの?あんた、女の子と友達になれるような子だった?」
失礼な、と思ったが、よく考えてみれば女の子と二人で遊びにいったことも、付き合ったこともなかった。
確かに、僕にしては珍しいかもしれない。女の子とまったく話せない訳ではないが、どこかで『付き合う』だとか、そういった行為から遠ざかっていた気がした。なぜかはわからないけど、芽衣にはそういったことが浮かばなかった。
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