過去ログ - ピエロのピエトロ・ピルエット・エルル
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13: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2017/01/07(土) 22:16:58.30 ID:pdC/HIHz0
少女は喋る事をやめない。
回りながら、くるくるぺらぺら。

「ピエトロは、ピエロなんでしょう?」

以下略



14: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2017/01/07(土) 22:17:50.62 ID:pdC/HIHz0
「ピエロのあなたは、笑いたいの?」

「……笑いたいとは、思わないかな。ぼくは、笑うことが出来ないんだ」

「嘘よ。だってさっき、笑ったもの。あははははって」
以下略



15: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2017/01/07(土) 22:18:41.87 ID:pdC/HIHz0
「回っちゃダメかしら?」

「ダメじゃあないけれど」

「練習、しないといけないの。ピルエットの練習よ。もうすぐ、発表会だから」
以下略



16: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2017/01/07(土) 22:19:28.36 ID:pdC/HIHz0
「もう、ピエトロは何が言いたいの?」

「ぼくかい?」

「あなたよ」
以下略



17: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2017/01/07(土) 22:20:48.03 ID:pdC/HIHz0
「ほら!止まってあげたわよ」

「ああ、止まったね」

「これで、いいの?」
以下略



18: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2017/01/07(土) 22:22:00.73 ID:pdC/HIHz0
理由を話そうとしたら、ノドの奥がじぃんと熱くなった。
けれど、涙は出なかったから、ぼくは熱いノドを冷やすように、息を吐き出す。

「妹が、天使になったんだ。それから、ぼくは笑わない」

以下略



19: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2017/01/07(土) 22:23:22.04 ID:pdC/HIHz0
言うべき言葉が見つからなくって、ぼくは観客席を眺めた。

年若い天使達は、身体を揺らしながら。
ヘンテコな歌を朗々と歌い始める。


20: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2017/01/07(土) 22:24:22.71 ID:pdC/HIHz0
♪可愛い天使の作り方
まず必要なのは女の子

素直で可愛い6歳から
しっかりものの15歳
以下略



21: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2017/01/07(土) 22:25:32.83 ID:pdC/HIHz0
♪必要なのは羽根の模様

それが身体に浮き出たら
天使になるのはすぐの事

以下略



22: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2017/01/07(土) 22:26:51.97 ID:pdC/HIHz0
♪いらないものは命と身体

天使にそんなの必要ないの
パパとママには会えなくなるけど

以下略



23: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2017/01/07(土) 22:27:54.68 ID:pdC/HIHz0
観客席の一番前に、天使になった妹の顔を見つけた気がして。
ぼくは手を伸ばしたけれど、まばたきをする間に、妹の顔は消えてしまった。


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