過去ログ - ピエロのピエトロ・ピルエット・エルル
1- 20
17: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2017/01/07(土) 22:20:48.03 ID:pdC/HIHz0
「ほら!止まってあげたわよ」

「ああ、止まったね」

「これで、いいの?」
以下略



18: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2017/01/07(土) 22:22:00.73 ID:pdC/HIHz0
理由を話そうとしたら、ノドの奥がじぃんと熱くなった。
けれど、涙は出なかったから、ぼくは熱いノドを冷やすように、息を吐き出す。

「妹が、天使になったんだ。それから、ぼくは笑わない」

以下略



19: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2017/01/07(土) 22:23:22.04 ID:pdC/HIHz0
言うべき言葉が見つからなくって、ぼくは観客席を眺めた。

年若い天使達は、身体を揺らしながら。
ヘンテコな歌を朗々と歌い始める。


20: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2017/01/07(土) 22:24:22.71 ID:pdC/HIHz0
♪可愛い天使の作り方
まず必要なのは女の子

素直で可愛い6歳から
しっかりものの15歳
以下略



21: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2017/01/07(土) 22:25:32.83 ID:pdC/HIHz0
♪必要なのは羽根の模様

それが身体に浮き出たら
天使になるのはすぐの事

以下略



22: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2017/01/07(土) 22:26:51.97 ID:pdC/HIHz0
♪いらないものは命と身体

天使にそんなの必要ないの
パパとママには会えなくなるけど

以下略



23: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2017/01/07(土) 22:27:54.68 ID:pdC/HIHz0
観客席の一番前に、天使になった妹の顔を見つけた気がして。
ぼくは手を伸ばしたけれど、まばたきをする間に、妹の顔は消えてしまった。


24: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2017/01/07(土) 22:29:34.91 ID:pdC/HIHz0
ふと、妹の顔を思い出せない事に気付く。
ついさっき見えた気がした顔も、それがどんな表情をしていたのかがわからない。

「……ピエトロは、妹さんの事が、大好きだったのね」

以下略



25: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2017/01/07(土) 22:30:34.10 ID:pdC/HIHz0
「ピエトロ、あなた、泣いているの?」

「まさか。泣いてなんか、いないさ」

「泣いてもいいのよ」
以下略



26: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2017/01/07(土) 22:31:42.27 ID:pdC/HIHz0
少女が、またバレエを踊り始める。
細い手足を大きく広げて、美しく舞う。

「また、踊るのかい」

以下略



27: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2017/01/07(土) 22:32:37.92 ID:pdC/HIHz0
「泣いても、いいのよ」

「……泣かないよ」

「あら、泣かないの?」
以下略



50Res/15.41 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice