過去ログ - まゆ「破ってはいけない3つの約束事について」
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名無しNIPPER
[saga]
2017/01/08(日) 14:51:20.88 ID:SwhvTvNS0
まゆとプロデューサーさんとの間には、守らなければならない3つの約束事がありました。
1. 誰かがまわりにいるときは話さない
2. キスは一日に一回まで
3. 黒いビニール袋は絶対に開けてはダメ
これらを守っている限りは、プロデューサーさんはまゆに優しくしてくれたし、
1日に1回のキスだって頭がとろけてしまいそうなほど甘いものでした。
まゆにとって、それは何物にも代えがたい幸せで、
だから、普段あまり話せないことも苦ではありませんでした(ほんとはちょっぴり寂しかったですけど)。
こんな日常を続けるために、3つの約束事は、どんなことがあっても破ってはいけなかったのです。
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名無しNIPPER
[saga]
2017/01/08(日) 14:58:14.85 ID:SwhvTvNS0
プロデューサーさんの家は、事務所から、やや離れた場所にありました。
女子寮にはいっていたまゆは、ことあるごとにそこへ出向いて、
料理をつくったり、二人きりでお喋りをしたり、楽しいひとときを送っていました。
以下略
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名無しNIPPER
[saga]
2017/01/08(日) 15:02:27.29 ID:SwhvTvNS0
ただ、プロデューサーさんはお堅い人だったので、どんなにねだっても、家に泊まらせてはくれませんでした。
それでも、帰り際には「今日はありがとう」と言って、力一杯抱きしめてくれました。
以下略
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名無しNIPPER
[saga]
2017/01/08(日) 15:04:13.25 ID:SwhvTvNS0
そういえば、その家にはいつも、“黒いビニール袋”が床に置いてあったんです。
はじめのころは「これは何の袋ですか?」と聞いたこともありましたが、
やけに難しい顔をしたプロデューサーさんが「なんでもないから、触らないでくれ」と低い声でまゆを怒ったので、そこからは、あまり気にしないようになりました。
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5
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名無しNIPPER
[saga]
2017/01/08(日) 15:07:12.06 ID:SwhvTvNS0
とりあえず、それをメモとしてまとめてみたのですが、
・捨てるゴミ
・仕送りの野菜
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6
:
名無しNIPPER
[saga]
2017/01/08(日) 15:08:46.29 ID:SwhvTvNS0
思い切って、それを開けてしまおうと考えたこともありました。
だけど、約束事を破ってしまうことは、この幸せな日々を無くしてしまうことと同義だったのです。
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7
:
名無しNIPPER
[saga]
2017/01/08(日) 15:12:02.00 ID:SwhvTvNS0
たった一度だけ、まゆはプロデューサーさんとの約束を破ったことがありました。
それはとても些細なことでした。
営業で外回りに行く前に、プロデューサーさんに「糸くずがついてますよぉ」と触った、ただそれだけのことだったんです。
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8
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名無しNIPPER
[saga]
2017/01/08(日) 15:13:31.69 ID:SwhvTvNS0
幸せな日々を手に入れることも、失うことも、まゆ次第ということなのでしょう。
しばらく経ってから、新しい黒いビニール袋が家に増えたとき、
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9
:
名無しNIPPER
[saga]
2017/01/08(日) 15:15:55.81 ID:SwhvTvNS0
まゆはいてもたってもいられずに、傍に寄り添うと、
手を繋いで、泣きそうになりながら「そう、ですね」とこたえました。
そしたら、プロデューサーさんはいつもみたいに、まゆをぎゅっと抱きしめて、
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10
:
名無しNIPPER
[saga]
2017/01/08(日) 15:20:30.59 ID:SwhvTvNS0
そんなことがあったからか、まゆは、どうすればこの素晴らしい日々が続くのか、ということだけを考えるようになりました。
答えは単純でした。“なにもしない”ということ――それが正解だったのです。
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11
:
名無しNIPPER
[saga]
2017/01/08(日) 15:21:45.15 ID:SwhvTvNS0
異変が起きたのは、暗雲がたちこめる、薄暗い日のことでした。
その日、まゆはプロデューサーさんの家で、いつものように料理をつくっていましたが、
当のプロデューサーさんはというと、まゆを置いて外出していたのです。
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12
:
名無しNIPPER
[saga]
2017/01/08(日) 15:23:58.83 ID:SwhvTvNS0
それから、やはり、足元には黒いビニール袋が置かれていました。
もう、気に留める理由もなかったので、
まゆは、そのまま鼻歌を歌いながら、おたまで鍋の中身をかきまわしていました。
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13
:
名無しNIPPER
[saga]
2017/01/08(日) 15:25:25.29 ID:SwhvTvNS0
おもわず足元を見下ろしてしまったとき、「やってしまった」と思いました。
黒いビニール袋は、その口を開いた状態で横たわっていたのです。
どうやら、縛り方がゆるかったのでしょう。その中身は無残な形であらわになっていました。
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14
:
名無しNIPPER
[saga]
2017/01/08(日) 15:27:13.00 ID:SwhvTvNS0
悲鳴よりも先に頭によぎったのは、「どうすればこれをなかったことに出来るのか」ということでした。
まゆは、それがどんな理由でこんな場所にあって、
どうしてこんな状態になっているのか――なんてことよりも、これを見てしまったという事実を消してしまわねばなりませんでした。
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15
:
名無しNIPPER
[saga]
2017/01/08(日) 15:28:58.51 ID:SwhvTvNS0
幸いにも、プロデューサーさんが帰宅するよりも前に、
袋を“元の状態”にもどすことに成功したまゆは、胸を撫で下ろしました。
何事もなかったように、ふたたび、鍋に火をかけ始めた頃、
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16
:
名無しNIPPER
[saga]
2017/01/08(日) 15:53:30.29 ID:SwhvTvNS0
しばらくして、玄関口のドアノブを回す音が聞こえると、プロデューサーさんが家に帰ってきました。
「ただいま」と言ったその手には、やはり、黒いビニール袋が握りしめられていました。
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17
:
名無しNIPPER
[saga]
2017/01/08(日) 15:57:47.39 ID:SwhvTvNS0
正直に言えば、まゆは、気が気ではなかったのです。
平静を装おうとすればするほど、体が固まって、
まるで人形になってしまったかのように思えてしまったのです。
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18
:
名無しNIPPER
[saga]
2017/01/08(日) 15:59:15.20 ID:SwhvTvNS0
「あれ、ですか」と言葉に詰まりそうになりながら返答をすると、
「黒いビニール袋の中身のことだ」と怖い顔のプロデューサーさんがまゆを見据えていました。
「……いえ、見ていません」
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19
:
名無しNIPPER
[saga]
2017/01/08(日) 16:02:15.47 ID:SwhvTvNS0
それからというもの、まゆとプロデューサーさんとの距離は、すこしだけ、遠くなってしまいました。
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20
:
名無しNIPPER
[saga]
2017/01/08(日) 16:09:13.79 ID:SwhvTvNS0
約束事を破ったことに対する、うしろめたさ、みたいなものを無意識のうちに感じていたのかもしれません。
でも、それだけではなかったのです。きっと、プロデューサーさんは気づいていたんです。
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21
:
名無しNIPPER
[saga]
2017/01/08(日) 16:19:37.05 ID:SwhvTvNS0
「プロデューサーさん、あの……」
その日、まゆは、意を決してプロデューサーさんに真実を伝えました。
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