1:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 15:10:50.20 ID:3OYwXlIW0
湯呑みが割れ、その役目を終える音が聞こえたとき、私の興奮は最高潮に達した。
つい数秒前まで陶器であったものは、原型を留めることなく無残な姿で、それも木っ端微塵に粉砕されていた。
一つ五千円は下らない由緒正しい備前焼の湯呑みが、既に修復不可能な形で床に散在しているのである。
これほどまでに高価な湯呑みを見るも無残な姿に変えてしまったのはどこの誰なのか。
無遠慮にも興奮で上気した顔のまま、割れた陶器を見下ろしている愚か者は一体誰なのか。
──私だ。
また、やってしまったのだ。
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 15:12:22.62 ID:3OYwXlIW0
夕食のあと、この備前焼の湯呑みで日本茶を三杯飲み干して、計画通りに破壊してしまった。
台所の床に張り巡らされたフローリングの上に新聞紙を敷き、湯呑みを天高く掲げ、親の仇に投げつけるかの如く全力で振り下ろした。
湯呑みが砕け散ると同時に、脳内でアドレナリンが大量分泌されたのを、確かに感じ取ることができた。
小さな破片が散らばっている様を、ただ静観する。
一向に片付けを始める気配もなく、実家の台所で割れた湯呑みをさも嬉しそうに眺める気色悪い女子高生がここにいた。
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