12:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 15:38:43.14 ID:3OYwXlIW0
「ああ……君も知ってて来たのだろう」
花のように微笑みながら、江ノ島は答える。
「はい。たまには自主的に部活するのもいいかなあ、と思いまして」
「どういう風の吹き回しだ。君は織野がいなければ、ここに来る理由などないだろうに」
少し嫌味も混ざった物言いになってしまった。でも、江ノ島は気に留める素振りさえ見せない。
「そうでもありませんよ。理由なんて、あとから適当に作っちゃえばいいんです。例えば……ほら、今日は恐々院先輩とお喋りするついでに部活がしたくなりまして、とかどうです」
とんでもないことをさらっと口にする女だった。
「……君は幽霊部員だ」
「話し相手になってくれる幽霊なんて超素敵じゃないですか」
「私はオカルトの類は信じない」
「あらー、だとするとおかしいですよね。恐々院先輩、幽霊を信じないのに幽霊と話していることになっちゃいますよ……これって矛盾してません?」
「矛盾などしていない。君はごく普通の人間だ」
「なら部長として、普通の部員をないがしろになんてできるわけありませんよね。だって、幽霊じゃないんだから」
今、確信した。
この子に舌戦で勝つのは不可能だと。
どんなコミュニティーに属していればここまで屁理屈こねられるようになるのだ。
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