5:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 15:20:55.19 ID:3OYwXlIW0
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「壊子さん、ちょっといいですか」
問題が山積みとなり開催さえ危ぶまれていた文化祭も無事に終了し、八月上旬に予定されているコンクールに向けて静物デッサンの練習をしていた六月十日の放課後、校内の美術室で水の入ったカットグラスをデッサンしている織野が、声をかけてきた。
「ちょっと、とはどれくらいだ」
「からかわないでくださいよ。ここのパースについてアドバイスが欲しいんです」
織野の背後から、スケッチに描かれたカットグラスの俯瞰や、遠近を確認する。
作業段階でいえばまだ中盤だが、もはや私がアドバイスする要素なんて微塵も残っていない。
「織野……人をからかうなと言ったな」
「ええ、確かに言いましたけど。それがなにか?」
「その言葉、そっくりそのまま返すぞ。この絵を見る限り、もう私から教えられることはなにもない」
混じり気などない、本心からの言葉だった。
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