6:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 15:22:59.12 ID:3OYwXlIW0
「そ、そんなことありませんよ!まだまだ教わることはいっぱいあります!」
「例えば?」
うーんと腕を組みながら悩む織野の姿は、絵を描くときと同じぐらい真剣そのものだ。
「……ディティールとか」
「それは一年のときに教えた」
「曲線のタッチ」
「フリーハンドでも真円が描けるような後輩に教えることなんてない」
「ぐぬぬっ……じゃあ、線の圧とかは」
「単純な強弱の使い分けで君に敵うものは、県内中探してもいないよ」
がっくりとうなだれる織野の肩を軽く叩く。
もはやご愁傷さまとしか言いようがないのだが、まだ二年生である織野を指導できるほどの技量を持つ人物は、この高校には存在しない。
感性も上達速度も、とにかくあらゆる面で規格外なのだ、この男は。
「でもこの前のコンクールでは壊子さんの絵、審査員の人から絶賛されてたじゃないですか!」
「ああ、そうだな」
大袈裟に胸を撫で下ろしている目の前の男に向かって、とどめの一撃をお見舞いする。
「しかし、それはあの審査員達がジャッジを下せる範囲内での賞賛だ。あまりに年齢不相応で審査拒否されかけた君と比べられるなんて、甚だ心外だよ」
「そ、そんなあ!」
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