9:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 15:32:57.31 ID:3OYwXlIW0
「うーんとね……そこの窓から、ちょちょいっと」
江ノ島が指差す窓に視線を移すと、確かに女子生徒が一人通れるくらいの隙間があった。
ただ問題はそこではない。この美術室は校舎三階に位置するのだから、ちょっと飛び跳ねたぐらいでは窓枠に手をかけることすらできない。
「嘘だろ──だってお前、ここ三階だぞ。窓を使ったってのはわかるけど、まさか壁をよじ登ったわけじゃないよな」
呆れる織野を余所に、江ノ島はあの小さくて可愛らしい齧歯類が食料を溜め込むときみたいに、頬を大きく膨らませた。
「もう、花のJKがスカート履いたままコンクリートの壁をよじ登るわけないじゃない」
「だったらどうやって入ってきたんだよ。部屋の入口はお前が入ってこないよう、厳重に鍵をかけておいたはずだぞ」
右手の人差し指を立て小刻みに動かす動作をとる江ノ島は、私達二人を小馬鹿にした。
「ちっちっちっ、二人ともわかってないねえ……簡単なことです。事務員のおじさんという協力者から得た魔法のアイテム『長脚立』を使い、この身から溢れる乙女力を発揮させ、恐々院先輩とたっくんの蜜月の時間をぶち壊すべく、忍者も真っ青なスニーキングスキルであの窓から颯爽と侵入したんだよ!」
パリ・コレクションを練り歩くカリスマモデルでさえ絶対に似合わない大袈裟なポーズを決め、江ノ島は私と対峙した。
前々から知ってはいたが、ここまで残念な子だったとは。
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