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36:名無しNIPPER[saga]
2017/01/09(月) 12:00:16.02 ID:UN4aCHfs0
ドッドッド!
それは紛れもない心臓の動悸の音だった。
幸い北海道で名を馳せる鬼塚組の名前はここ、長崎までには届いてないようで、鋼自身も邪険に扱われることはなかった。
何せ身長165cmと少し低い体躯で、肌がやたらきめ細かい中性的な顔立ちをした鋼の見た目からはとてもヤのつく職業関係の人間には見えない。
しかし、
「まーちゃんあそぼー!」
「あのねー鋼くんと遊んでたらねー、うちのお母さんにあの子には関わっちゃだめ! って言われたんだー」
ビクッ!と肩が跳ねる。
ーー鋼にとってそれが1番最初の拒絶であった。
「(もう、昔のことなんだ、落ち着け俺)」
今日こそは友達をと、隣の席の女の子ーー錦野まに(にしきの まに)に話しかけようとする鋼だったが、前述の理由でずっと攻めあぐねているという訳だ。
それにしてもと顎に手をやる鋼。
「いいなーああいうヒラヒラしたの」
鋼の目線は錦野の人形のように整った顔立ちではなく、腰まで伸びて太陽の光を反射して輝いている見事な金髪のツインテールでもなく、ーーましてや彼女のその身長に似合わない豊満なバストではなかった。
制服ーー女の子用の制服に目をやっていたのだった。
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授業が終わり今日も誰にも話しかけられなかったと嘆息する鋼だったが横面を強く弾く痛みに驚いて横を見る。
「あんた私のことずっと見てたでしょ」
そこには何かを野球の投手のように投擲したポージングをした錦野が立っていた。
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