14: ◆GWARj2QOL2[saga]
2017/01/11(水) 23:21:48.22 ID:rRiEBhHTO
「悩んでもしかたないー…」
李衣菜と時を同じくして、一人の少女がスキップしながら無人の道を進んでいた。
「ま、そんな時もあるさー…」
普段より幾分か低いテンションで自身が知っている歌を口ずさむ。
何処を見渡しても、自販機の裏にも、マンホールの下にも、公衆トイレにも、誰もいない。
その静かな世界に、流石の彼女も段々と精神が削られていく。
「…」
やがてスキップする足も止め、普通に歩き出す。
その右手には、李衣菜と同じスマートブレインのロゴが刻まれたケース。
「…」
彼女もまた、李衣菜のように落し物と勘違いし、一応交番に届け出ようとしていた。
だが、こうも人とすれ違うことすらないというのには違和感を感じ始める。
「…開けちゃおうかな…」
悪い事だというのは分かってはいても、正直それどころではなかった。
まず、自分は誘拐された。
そして、妙な服に着替えさせられ、何処かの道端に捨てられた。
挙げ句の果てに、誰も自分を助けなかった。
そこに、この落し物。
本来は持ち主に届けるのが筋だが、この仕打ちを笑顔で済ませる程、彼女、藤本里奈は歳を重ねていない。
「…見ーちゃお…」
その場にしゃがみ込み、おそるおそるケースの蓋を開けることにした。
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