過去ログ - 李衣菜「…ここどこ?」
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21: ◆GWARj2QOL2[saga]
2017/01/11(水) 23:30:41.13 ID:rRiEBhHTO
「ッ!?痛ったぁ…!!!!」

太腿と、二の腕。

それぞれを弾丸が掠める。

しかしその傷口は深く、ナイフで切り裂かれたかのように血が吹き出す。

「痛いよう…誰か助けてぇ…」

止まらない血と、涙と鼻水。

何とかキューブリカンのセンサーに反応しない位置まで逃げ切る事には成功したものの、打開策は思いつかない。

いつかは彼のセンサーが自分を捉え、再び攻撃を始める。

あの威力ならば、ビルの外壁程度なら余裕で貫通出来るだろう。

つまり、逃げ続ける事は物理的に不可能。

血の出方からして、弾切れを待つ事も難しい。

仮にそれが出来たとしても、肉弾戦をする元気も逃げる余裕も無いだろう。

このまま二十歳を迎えることなく自分は死んでしまうのだろうか。

「…やだぁ…」

彼女にも、人並みの夢がある。

アイドルとして成功することも、女性らしく恋愛することも、結婚し、子を産むことも。

「…」

その時、ふと目に入る。

「…これ…」

無意識に手に掴んでいた、ケース一式。

そしてキューブリカンの言葉を思い出す。

変身して戦え、と。

自分の耳が腐っていなければ、そう言い放った。

「…そういえば…」

先の里奈との電話の時、目を開けてはならないと思っていたが、あまりの嬉しさに見開いてしまった。

そして、見えた。

ケース内の説明書の、変身シークエンスという項目。

記憶力は良い方ではないが、物珍しさからどうにも覚えていた。

「…」

導かれるように、手を伸ばす。

ベルトと、携帯電話と、奇妙な道具。

そして、覚えている限りのコードを押す。

『5・5・5』


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