35: ◆GWARj2QOL2[saga]
2017/01/12(木) 21:15:16.14 ID:gex3pyg2O
「…」
暗闇の中で、彼女は一人佇んでいた。
「…」
特に何も考えるわけでもなく、ぼおっと、立っていた。
「…」
あまりの現実離れした出来事や、死ぬ程の痛みを味わった事。そして死ぬ程流し、失った血のせいで脳が考える事をやめた。
「…」
もう、このままでも良いと彼女は思っていた。
音楽やアイドルへの情熱よりも、友達よりも最も大事なもの。
「生きる」という選択肢を、彼女は放棄しようとしていた。
このままここで死に直面し続けるのならば。
「…」
いっそこのまま眠るように、と。
「…?」
だが、それを許さない者が、一人。
『なちゃん…』
「…?」
誰だろう、と声のする方向に耳を傾ける。
『りなちゃん…』
その声は努めて優しく、何度も此方側に語りかけている。
『だりなちゃん』
母親が産まれたての赤ん坊に呼びかけるように優しく。
『だりなちゃん』
この世に生まれでて欲しいかのように。
「だりなちゃん」
「!」
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