42: ◆GWARj2QOL2[saga]
2017/01/12(木) 21:21:09.18 ID:gex3pyg2O
気づいた時には、自分は既に何処か知らない街の中。
平日の深夜でも、早朝でもないというのに、行き交う人の姿は一人としていない。
当初はパニックになってしまったが、彼女の持ち合わせる性格が、少しして冷静さを取り戻させた。
そして先ずは、この世界の情報を把握するべきと歩き回った。
そして、誰かのイタズラでないことはすぐに理解した。
このような犯罪じみたことは、流石に誰もするはずがない。
とは言っても、この仕打ちを行ったのが誰なのかは、皆目検討もつかない。
「…」
歩き回る内に、喉も乾き、腹も減っていく。
自分がまだ死んだわけではないと、実感する。
だからか、尚更辛い。
一人静かな時間を過ごすのは好きだが、ここまで極端な程の孤独感は好きではない。
「…しょーがない…か」
財布があればレジカウンターに置くつもりだったが、それはおろか携帯も持ち合わせていない。
心の中で謝りながら、彼女は近くのコンビニから一番安い水と食料を手にした。
誰もいないのだから、という思いは勿論あるはずもない。
「…バイオハザードみたいだな…全く…」
もしかしたら、今は身を潜めているだけで、夜になれば化け物達が押し寄せてくるのだろうか。
そう思うと、気温の高さに関係なく身震いする。
「…」
改めて、持ち物を確認する。
食料と、水。
そして、誰の物かも分からない、分厚いケース。
スマートブレインという会社のロゴが刻まれたそれは自分が目覚めたすぐ隣に置いてあり、異質な存在感を放っていた。
「…」
中を確認したい思いもあるが、仮に何かの機密情報でもあれば、恐らく自分は見たことを後悔するだろう。
だがそれ以外に持ち合わせているものもある。
両手が塞がっている、という大義名分もある。
「…荷物入れるだけなら、いっかな…」
所詮自分は女子高校生。
小難しい書類の内容など分かるわけもないとケースを開ける。
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