過去ログ - 李衣菜「…ここどこ?」
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43: ◆GWARj2QOL2[saga]
2017/01/12(木) 21:21:55.58 ID:gex3pyg2O
「…」

蓋を開けて、一瞬、止まる。

中に入っていたのは、想像していたものとは遥かに違う。

「…何だこれ?」

それはファッションにするにはどうも似合わず、本来のそれの機能性も微塵も感じられないもの。

「…ベルト…だよな…?」

バックル部分には、何かを入れるのだろうケースがある。

それとサイド部分にも、何かをはめるためのものがある。

後ろで止めるタイプのベルトらしく、益々オシャレとは程遠い代物であると感じる。

「…んー…」

ここまで見てしまうと、どうにも気になる。

一番下に入っていた取扱説明書を取り出し、パラパラと捲る。

「…えーと…あ!ケータイ…」

それを読みながら、ケースの中を確認していくと、随分使いづらそうな折りたたみ式の携帯電話を発見する。

それを取り出すと、折りたたむものではなく、スライド回転させて使用するものなのだと気づく。

「…?」

そこにあった画面は、三つのコードの羅列。

これらのコードを押せと言わんばかりに表示されている。

「えーと…とりあえず…」

こういう時、誰に電話をすれば良いのか。

親、友人。

それよりも、もっと現実的な連絡先。

「…110…と」

警察に電話し、救助を求めるのが一番早い。

「…」

呼び出し音は鳴っている。

どうやら普通の携帯電話と同じ機能は持ち合わせているらしい。

「…」

だが、7コール目まで経っても呼び出し音が鳴るばかりで、誰も出ない。

「…やっぱ、人はいない…か…」

しかし、それは想像の範囲内。

ならば、と家族や友人にかけてみても、結果は同じ。

「…勘弁してくれよ…」

夏樹は力無く項垂れ、携帯を閉じた。


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