過去ログ - 鷺沢文香「燃える彼女がくれるもの」
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11: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/01/12(木) 21:20:45.23 ID:xxHx5Jku0
「しかも、それだけじゃないの」
「え?」
12: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/01/12(木) 21:21:19.57 ID:xxHx5Jku0
多少の不安を抱えたまま迎えたダンスレッスン。
レッスン室に行くと、既に茜はウォーミングアップを開始していた。
「! 鷺沢さん! よろしくお願いします!!!」
13: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/01/12(木) 21:21:53.99 ID:xxHx5Jku0
彼女のステップはとにかく速く、豪快で、そのセンスを感じずにはいられないものだった。
トレーナーさんも、時折"走ってますよ"という声はかけるが、おおむね満足気だ。
そこから、簡単な手の振りや、様々なステップを組み合わせたレッスンが始まった。
14: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/01/12(木) 21:22:44.47 ID:xxHx5Jku0
そうして茜のステップを眺めていると、すぐに休憩の終わる時間が来てしまった。
重い体に鞭打って立ち上がろうとするが、思いの外疲れていたようだ。
「……っ!」
15: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/01/12(木) 21:23:44.36 ID:xxHx5Jku0
レッスンを終え、着替えを済まし、さて帰ろうかと考えていると、茜が目の前にいた。
"お疲れ様でした"と声をかけようとしたその刹那。
16: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/01/12(木) 21:24:37.00 ID:xxHx5Jku0
一瞬の驚き、しかし、すぐに真意に気がついた。茜は、疲れている自分を気遣っているのだ。
「……お気持ちは有難いのですが、茜さんの家とは方向が違いますし」
17: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/01/12(木) 21:25:40.76 ID:xxHx5Jku0
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それから何日か経過したある日。
18: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/01/12(木) 21:26:21.59 ID:xxHx5Jku0
そういえば、茜にボーカルレッスンの光景を見せるのは初めてだ。聞くと、まだレッスン自体をやっていないという。
なるほど、詳しくはわからないが、ボーカルや表現力は一旦見ずにダンスを鍛え上げて、バックダンサーなどのポジションからデビューを狙っていくのかもしれない。
自信がある。とは口が裂けても言えないが、ダンスに比べれば、いくらかは見苦しくないものだとは思っている。
19: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/01/12(木) 21:26:58.65 ID:xxHx5Jku0
レッスンはそのまま、滞りなく終了した。
普段なら部屋に戻り読書をするところだが、時計を見ると、恐らくまだ茜はダンスレッスンをしている時間だった。
自身の練習時間を割いてまでこちらのレッスンを見学してくれたのだ、挨拶の1つくらいはするのが妥当だろう。
20: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/01/12(木) 21:27:33.79 ID:xxHx5Jku0
ふいに聞こえた自分の名前に、全身がビクッと硬直する。
思わずドアノブから手を引き、耳を澄ませてしまう。
「私には絶対あんな雰囲気は出せません……! 感動しました!!」
21: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/01/12(木) 21:28:27.77 ID:xxHx5Jku0
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少し、時間は巻き戻る。
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