過去ログ - 鷺沢文香「燃える彼女がくれるもの」
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20: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/01/12(木) 21:27:33.79 ID:xxHx5Jku0
ふいに聞こえた自分の名前に、全身がビクッと硬直する。
思わずドアノブから手を引き、耳を澄ませてしまう。
「私には絶対あんな雰囲気は出せません……! 感動しました!!」
力説する茜。相手の相槌をかき消す勢いで言葉が並んでいく。
その一方でこちらは、恥ずかしい、過大評価だ、他にも凄い娘はたくさんいる……。などと頭の中で、誰にするわけでもない言い訳を唱え続けることしかできない。
当然ながら、ドアを開けることはできず、そのまま逃げるように帰宅の途に就いた。
途中、すれ違った奏に、
「顔が赤いわよ?」
と笑われたのも仕方のないことだろう。
そして、
「なんだか嬉しそうね」
と言われたことも。
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