過去ログ - 鷺沢文香「燃える彼女がくれるもの」
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8: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/01/12(木) 21:18:37.11 ID:xxHx5Jku0
しかし、昨日今日と、全ての会話において茜から話を振ってもらっている気がする。流石に話題提供の一つでもするべきか。
そう感じた結果、適当な話題を振ることにした。
「茜さんは、昨日、あの後は何をされていたのですか?」
「あの後ですかっ! 書類を全部出した後、自由になったので、一旦家に戻って……。あ! ○○神社でお参りをしました!」
失礼ながら、意外だ。
そういう信心を大事にするタイプなのだろうか。確かに、○○神社はこの辺りでは1番大きな神社である。とはいっても、事務所からだと4駅くらいは離れているが。
「そうですか……。その近くにお家が?」
「いえ! 私の家は××駅の近くです!」
驚いた。××駅は、事務所から神社とは反対方向の駅だ。
いささか長い時間を電車での移動に割いてまで、お参りしたかったのだろうか。
「××駅からだと、電車ではどれくらいかかるのですか?」
「え? 電車ですか? えっと……す、すみません、わからないです……」
「……?」
「電車は使っていないので……」
少し混乱してきた。茜が家から○○神社へ行ったのは事実である。そして、茜の家から○○神社が遠いということも事実だ。
しかし電車は使っていないという。まさか車? いや、そもそも免許を取れる年齢なのだろうか。では自転車? それも少し辛い気がするのだが……。
まさか、走って、などということはないだろう。
「家からランニングをしていたら、偶然辿り着きまして!」
そのまさかだった。
あっけらかんと言う茜に対し、どうしても"信じられない"という眼差しが隠せなくなってしまった。
"行動派(らしい)"などという騒ぎではない。茜の行動力と体力はまさに底なしだ。
――少し、羨ましいと、感じた。
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