26:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/20(金) 00:49:45.54 ID:b4qt7MSMo
私は今日一日のできごとをひとつひとつ順々に思い出しながら、アライグマさんに聞かせてあげた。
夢見心地で家を出たら、体操着を忘れちゃったこと。
困っていたら、歳納京子が助けてくれたこと。
体育の時間にボールがぶつかって気絶しちゃったこと。
そして、その時の夢で初めてアライグマさんに出会ったこと。
起きたら千歳が泣いちゃってて、初めて千歳が泣いてる所を見て、なぜかちょっとだけ嬉しかったこと。
授業中、久しぶりに回し手紙なんて手法を使って、歳納京子とお話したこと。
帰りに寄った千歳の家で食べた、抹茶のショコラ。
綾乃「日記なんて普段からつけてないんだけど……今日から始めちゃおうかなって思うくらい、いい一日だった気がするの」
『よかったなぁ。幸せなことやね』
綾乃「この観覧車と……それと、アライグマさんのおかげかもしれないわ。ありがとう」
『あははっ、もう照れるやんかぁ』
夜の観覧車は、昼間とは全く違ったムードを醸し出していた。かかっているオルゴールも昼間のものとは違うしっとりしたメロディになっていて、なんだかちょっとだけ大人な気分になれた。
『お嬢さんが楽しかったってことは、京子さんも楽しそうにしてたんやね』
綾乃「歳納京子はいつも楽しそうだけど……確かに今日は、いつもより眩しく見えたかも」
『好きな人が楽しそうにしてるとな、それだけでこっちまで楽しくなってしまうもんや。嬉しそうな顔を見ればこっちも嬉しくなるし……悲しそうな顔を見れば、時としてこっちの方が悲しく感じてしまうこともある。好きになった人とは、自然と同じきもちになってしまうものなんやで』
綾乃「ふふ……いいこと言ってくれるわね。アライグマさんは」
そう言ってあげると、ちょっと恥ずかしそうにしながら「おおきに」と手をあげて応えてくれた。
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