過去ログ - 【ゆるゆり】綾乃「観覧車」
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34:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/20(金) 00:57:32.09 ID:b4qt7MSMo
気づけば景色は低いところにあった。月明かりに浮かぶ雲が遠く、街の明かりが近く見える。観覧車の終わりが近づいていた。


『恋とは、人を好きになること。恋とは、好きな人に近づきたいと思うこと。けれど、どれだけ近づいても終わりはこない……恋とは、その人を好きでい続ける限り、決して終わりのこない、素晴らしいもの……』


綾乃「ふふ、アライグマさんたら、詩人みたいね」


『何ゆうてるん、お嬢さんが自分で考え出した答えをまとめただけやで?』


綾乃「えっ……///」


『京子さんとの恋路を一生懸命歩んでるお嬢さんやけど、これだけの大切なことを、一生懸命ちゃんとこなしてる……せやからウチも応援したくなるんや』


綾乃「そんな……改めて考えてみたら、すごく難しいことだってわかったわ。私はただ何も考えずに、無我夢中で歩んでいただけよ……」


『難しく考えることはあらへん。人間だれしも恋をする……子供でも大人でも。頭で考えていまいちわからなくても、心と身体が全部自然にわかってることなんやって』


綾乃「……そっか。そうかもね」くすっ


ゴンドラは5時部分から6時部分へと差し掛かっていた。ずいぶん長く乗っていた気がするけれど……やっぱり今回も一周だけだった。



『そうそう、最後にひとつ、これも言っとかな』


綾乃「なあに?」


『あのな、好きな人に近づきたいというきもちを強く満たしてくれる……もうひとつのいい方法があるんや』


綾乃「えっ……?」


『それは…… “相手の方からも自分を好きになってもらう” ということ』


綾乃「……!!」はっ


『ただ一生懸命追いかけるだけやなくて……どうすれば向こうからも自分に近づいてきてくれるか、どうすれば自分を好きになってもらえるか……それを考えるのも、立派な “恋” の形なんやでっ』


その言葉を最後に……まだ降りてもいないのに、開いたガラスの扉の向こうに吸い込まれてしまうかのように、景色が遠くなっていった。


何もかもが視界の奥に吸い込まれて……夜だった夢の世界は白く、朝の光の色に変わっていき……


いつも通りの朝の世界に、引き戻された。


音もなく一瞬で……夢は、覚めた。



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