過去ログ - 【ゆるゆり】綾乃「観覧車」
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7:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/20(金) 00:31:49.72 ID:b4qt7MSMo



現実とは、思い通りにならないものだ。

予想通りに事が進まないことなんてしょっちゅうで、それどころか願ってもいないアクシデントに見舞われたり、どんなに気を付けていても何故か失敗してしまったりすることがある。


綾乃(ど、どうしよう……!)


今日の私は、あろうことか体育の時に着る体操着を忘れてきてしまった。


それに気づいたのは更衣室に向かう前。今日のために綺麗にたたんでセカンドバッグの隣に用意しておいたのに、朝から少々夢見気分だった私は教科書類の入っているバッグだけを持って家を出てきてしまったのだ。

親に連絡しても、直前になった今からでは体育の授業に間に合わせることはできない。他のクラスの誰かに借りようか、そんなツテも胸を痛めている今ではすぐには思い浮かばなかった。

もっと早くに気づいていれば……というか家を出るときにちゃんと気づいてさえいれば、こんなことにはならなかったのに……こんなに胸を痛めることはなかったのに。

緊張で苦しいときに思い浮かんだのは千歳の顔だった。しかし千歳は今日の体育の授業準備を担当していて、先に着替えて体育館へ行ってしまっている。

時計を見ると、授業が始まるまであと5分。もうクラスメイトはほとんど教室内におらず、更衣室へ向かってしまったようだ。

最後の頼みで後輩の古谷さんを頼ろうかと思い、走って教室に行ってみたけれど……どうやら理科の実験か何かで教室移動の授業らしく、知り合いの生徒は残っていなかった。

とぼとぼと自分の教室に戻る。こうなったらもう素直に先生に言うしかない……代案も何も思い浮かばなかった。今日は見学になるのだろうか。私は今まで体操着を忘れたことなんてなくて、いっそのこと体調不良で早退してしまいたいほど恥ずかしかった。


後悔ばかりが心を覆って、目先のことが何も見えなくなってしまう。

どうしてあの時、どうしてあそこで、どうしていつも通りできなかったのか……

過ぎさって取り返しのつかない過去のことしか思い浮かべられない。


……そんな時だった。


「あれー綾乃、どしたの?」

綾乃「っ!」どきっ


京子「まだ行ってなかったの? 次体育だよ?」

綾乃「と……歳納京子……」


体操着姿の歳納京子が、ヘアゴムを指でひろげて弄びながらそこに立っていた。


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