400:名無しNIPPER[saga]
2017/02/12(日) 20:57:15.28 ID:NhytkIqso
それは、アニマの巫女であるヒビキだから感じ取ることのできた、タカネの感情。
冷徹な仮面の下で自らを苛み続けた思い――
仇に従属しなければならない苦痛や
罪のない者を傷つける度に感じた胸を掻き毟られるような罪悪感。
タカネが堪えてきた感情が希照石を介してヒビキに伝わり、
そのすべてを今、ヒビキは自分自身のことのように感じていた。
そしてそれは、実直なヒビキにはほんの僅かも
堪えることすらできないほど深い悲哀に満ちていたのだ。
タカネ「……貴女は、心優しき方なのですね。
仇であるはずの私のために涙を流すなど……」
涙を流し嗚咽を漏らすヒビキに、タカネは微笑みを向ける。
しかしそこにはやはり、ある種の諦観めいた感情があった。
タカネ「ですが貴女に話したところで……何も変わりはしなかったでしょう
貴女方や多くの無辜の民を傷付け、ハルシュタインに従い続けていたでしょう。
私は身勝手で愚かな女です。それが悲願を叶える唯一の方法である以上、やはり私は……」
すべてを諦めた、もうどうしようもないという
悲しい薄氷のような笑みが、タカネの表情には張り付いている。
だが次の瞬間、素顔を覆い隠すその笑みが初めて、ほころびを見せた。
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