50:名無しNIPPER[saga]
2017/01/21(土) 20:21:06.05 ID:JL8wN2Aao
いまだアンコウの着ぐるみを着たままのタカネは
テーブルの席をヒビキにすすめ、ぽふぽふと手を叩いた。
すると切れ込み一つ無かったはずの白い壁に突如扉が現れ、
音もなく開いたかと思うと、中から数人の人間が歩み出てきた。
それぞれ胸の前にトレイを持ち、
その上に乗せられた鉢のような食器からは湯気が立っている。
先程までは微かに感じられるだけだった匂いが、
扉が開いた途端、鮮烈にヒビキの鼻を刺激した。
ひたすら濃厚で、一歩間違えれば
悪臭に近くなってしまうのではないかというほどの強い香り。
だがそれは決して悪臭などであるはずはなく、
ヒビキは、舌の奥に痺れるように唾液が溢れてくるのを感じた。
タカネに勧められるままに座った椅子。
その目の前のテーブルに、鉢が静かに置かれた。
もうもうと沸き立つ湯気の向こう、透き通った褐色のスープの中に、
ヒビキが見たことのないクリーム色の細い束が沈んでいるのが見えた。
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