過去ログ - 橘ありす「みなさんお集まりください、ウミガメをしますよ」鷺沢文香「その2です」
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933: ◆CbY/2YhKbY[saga]
2017/01/25(水) 21:01:28.35 ID:e7RZ7e/R0
>>930
うわピンポイント!!正解です!

解説
「ほれ、これでいくらでも食えるぞ」
和尚が取り出したのは一枚の紙切れ。
小僧はそれを見てひっくり返ります。
学のない小僧でもこの紙が何を意味するのかわからないわけじゃあない。
一応義務教育は終わっている身だ。
「ギエーッ! 和尚、これは一体!!」
「渚氏に生前譲り受けた水飴工場の権利書じゃ。くれてやる」
「くれてやる、じゃあないですよ和尚!!何考えてるんだあんたアホなのか!?」
「ガッハッハ!!アホとは!!アホとは!!ワッハッハッハ!!!
師匠に向かってなんたる口の利き方じゃ!!なんか新しくてウケる!!!」
「ウケる!じゃあないですよ!?笑ってる場合じゃないでしょう!?」
「たくさん食べてきなさい!!」
「あのねえ!!!」

和尚は出家前、そのあまりの人の良さに分厚い人望を築いた一方、人が良すぎてコロッと騙されるという現代では致命的となる弱い面を抱えていた。
人を疑うということを知らず、政治にとことん向かず、ホイホイと人を信頼しては裏切られるということを繰り返し落ちるところまで落ちた出家前の和尚。
それを見かねた渚という工場経営者の男に和尚は救われたのだった。
渚が世を去って以来出家し、1000年続く寺の和尚となった彼は依然として人を疑わず、憎まず、嫉妬せず。
そして病にも罹らないという、現代の生ける如来のようなカリスマを発揮し、寺の檀家は増え、仏教に帰依する人も増えてきた。

方やこの小僧ときたら、ちっちゃな頃から悪ガキで、15で度重なる素行不良のせいでどこからも疎まれる問題児と呼ばれるどうしようもない少年であった。
どこからもどうしようもないヤツだと言われ、この和尚の寺に押し込まれたのだった。

そんな小僧が「水飴を分けてほしい」ときた。
いつもは「水飴が食べたい」と来る小僧が「分けてほしい」と言葉を変えたのだ。
これに人のいい和尚はすぐに「なるほど渚さんの水飴工場か」と思い至り、工場の権利書を小僧に手渡したのだった。

和尚は「渚さんとこやつは顔見知りですらなかったはず……まあいいか」
「そういえばこの寺の100数代前の和尚も弟子にねだられて飴をケチった、などという逸話が残っていたな」
「ケチでいて得することなど何もない。この工場もくれてやろうではないか」
などなど独りごちてはお気楽なものだった。

これに小僧は肝を潰し、反省した。
そして和尚のあまりの人の良さにこの先が心底恐ろしくなった小僧はこれ以降というもの
檀家の中に少なからず居た「和尚の人望人徳にタダ乗りしようとする罰当たりな輩」から和尚を生涯守るべく
自身も寺に住み込みながら厳しい修行に励み分野を問わず学をつけ、ついぞ和尚を悪い虫から守り果したのだった、
お役を果たしたのちに彼は人徳の厚い100数+1代目の和尚となったそうな。

お粗末様でした。


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