過去ログ - 【オリジナル】サンデー・ブルース 3年D組の団結力(立て直し)
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18:中村千歳 ◆hsUAEn/JO/Q.[saga]
2017/01/24(火) 23:20:35.53 ID:vWM5/THL0
「すみれ先輩っ、すみれ先輩っ」
 ところで喫茶店って、注文した飲み物を飲みながらお喋りするところじゃなかったっけ?
 まだ何も届いてないのに、結衣さんこの調子なんだけど。

「すみれ先輩にプレゼントですっ」
 ……聞き間違いじゃなければ、今プレゼントって言った?
「今日すみれ先輩誕生日じゃないですかっ。だから、プレゼントですっ」
 そう言うと結衣さんは、小さい箱を取り出した。大きさは……そうだね、野球のボールくらいかな?
「えっと……開けてもいい?」
「どうぞっ」
 開けてみた。
 中身は携帯ストラップだった。黒い紐の先端に、何か変な人形みたいのがくっついてる。
「……これ何?」
「栃川のご当地キャラ、とっちーくんですっ」
 知らない。3年間栃川に通ってるけど、とっちーくんなんか聞いたことない。ってそうじゃなくて。

「結衣さんが……私にプレゼント?」

「すみれ先輩にプレゼントって言ったじゃないですかっ」
「私も半分出したんだけどな……」
 あ、香織と結衣さん、2人からのプレゼントか。それなら納得。……できなかった。
「香織」
「ん?」
 これは、はっきり確認しておいたほうがいいと思う。

「なんで香織は、友達でもない私にプレゼントをあげようと思ったの?」

「すみれちゃん、それは違うよ」
「え?」
 その返答は、多分東大生でも予想できなかったと思う。

「友達だから、プレゼントをあげようと思ったんだよ」

 香織と結衣さんが、おもむろに自分の携帯を取り出した。
「これ、私とお揃いなんだ」
「私も付けてますっ」
 2人の携帯には、黒い紐が付いていた。その先にはとっちーくん。
「このストラップは、私とすみれちゃんと結衣の、友達の証だから」
「友達の……証?」
「そうですっ。私たち3人は、友達ですよねっ?」
 友達の証か……。
 思えば私は今まで、友達がいなかった。というか、いないと思い込んできた。
 誕生日は夏休み中だから、誰もお祝いしてくれないし。

 でも、友達はいたんだ。寺崎香織という友達が。こんな私でも、ちゃんとお祝いしてくれた。
 さらに、出会って3週間の津川結衣さんも、友達だと言ってくれた。
 団結力が武器の3年D組……は今回は関係ないけれど。
 自分が気づいていないだけで、意外に友達っているのかな。

「ありがとう、香織、結衣さん」

 帰りの地下鉄の車内で、さっきのストラップを握りしめてみる。
 友達の証か……。絶対なくさないようにしよう。


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