過去ログ - 未来人「少し先の未来で、待ってるから」
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10: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/03(金) 20:12:05.24 ID:Nr4cjnOQ0
 翌日は、たしか、朝早く起きたか何かで、早い時間に家を出た。

 一昨日と昨日のこともあり、あまり明るい気分ではなかった私は、いつの間にか、早足になっていた。
 私は、嫌なことがあると早足になる癖がある。

 学校に着くと、正門の隣にある体育用具倉庫が開いていた。
 中を覗くと、高飛び用か何かのクッションの山が崩されていた。
 倉庫の土埃とカビの匂いが、あまり気持ちよくはない色で私の頭を染めるので、私はすぐに倉庫から顔を背けた。
 少しだけ群青の香りがした気がした。

 そのまま下駄箱に向かう。

 途中、さっきよりもはっきりと群青が香って、ふいと振り返った。

「なにしてるの?」

 目に映ったのは、農具倉庫から出てくる未来人だった。
 私が声をかけると、まるで私が声をかけることを知っていたかのように、自然に、彼女はこちらを向いた。

「ちょっと、今日の準備」

 なんの準備かは教えてくれそうになかったので、私は「へぇ」と答えた。

「私は、目が覚めたから早く来た」

「ふぅん」

 未来人は興味なさそうに自分の髪を撫でると、下駄箱とは反対方向へと歩いて行った。



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