過去ログ - 未来人「少し先の未来で、待ってるから」
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12: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/03(金) 20:14:49.34 ID:Nr4cjnOQ0
「だれかあ、けてー」

 扉に何かをぶつける音がする。
 建てつけの悪い教室の扉が、音を立てて揺れる。まるで怒られているようだった。

 喉から、ヒュッ、と、聞いたことのない息が漏れる。

「あけてあ、けてあぇー」

 聞き覚えのある声で、でも聞き覚えのないイントネーションで、焦げ紫のそれは扉を揺らし続ける。
 次第にそれは強くなって行って、振動するたびに、ミシミシと音を立て始めた。

 ふと、思い出す。

 川田は、腕が見つからなかったらしい。

 私たちは、腕で扉を開ける。なら、もし腕がなかったら?

 そこまで考えたところで突然、焦げ紫の何かは、扉を叩くのをやめた。

 足音が遠ざかる。

 物音が急にしなくなって、扉はしんと大人しくなった。

 安心して膝から崩れ落ちそうになって、力を入れようとすると、

 次の瞬間、大きな物音と共に教室の扉がこちらへ倒れこんできた。その背中に大きな塊を載せている。

 私はそこで初めて、人間の舌は驚くと喉に詰まるのだ、ということを知った。

 塊が起き上がる。
 焦げ紫。顔を見る。川田だ。でも顔だけだ。体格は成人男性の一回りは大きい。

 腕はあった。

 でも、私はそれを見てすぐ、急がないと、と感じた。

 それから、死ななきゃ、と思った。

 逃げないと、と考えたのはその後だった。

 私は転がるように焦げ紫の川田に背を向けて、走り出そうとして、その場に転んだ。

 プラスチックの割れた音がする。

 すぐに起き上がって、そのまま廊下側ではなく、窓側(……今となっては、どうしてそう判断したのか理解はできないけど)へ全力で走り、そして、気がつくと、

 2日が過ぎていた。


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