過去ログ - 未来人「少し先の未来で、待ってるから」
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44: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/04(土) 22:49:47.02 ID:VUzEAQad0

「カメラのフラッシュだ!」

 フラッシュを使って岡西が未来人に合図をしたのが、ここからでも確認できた。

「あと少し!」

 山田がなんとか立ち上がって、私を起こそうとしてくれる。

「山田、1人で走れる??」

 中村が私の前にしゃがみ込んで、山田に向かって叫んだ。

「うん、走れる!」

「よし、背中に乗れ!」

 中村は私の腕を引っ張ると、半分引きずるようにして私を背中に乗せて、そのままの勢いで立ち上がった。

 少しふらついてから、山田の背中に全力で付いて走る。

 中村に必死でしがみつく。中村は人を背負っているとは思えない速さで山田の背中に付いて行った。

 一番近い入り口まで、あと少し。

 山田が痛めた足を庇いながら走り、中村がそれについていく。
 私は焦げ紫が濃くなるのを少しづつ感じていた。

「ま、まつっ、まってーぇ」

 突然後ろから聞こえてきた呻き声に、私たちは跳ねる勢いで驚いた。

 山田がつまづいて転びかける。

 釣られて中村が立ち止まってしまったので、私は額を後頭部にぶつけた。

「ふっ、ふーり? まっ%¥=°〜て!」

 後ろから聞こえてくる奇声に、山田と中村は完全に脚が竦んでしまっていた。

 まずい。

 私が足を引っ張っているのはわかるけど、動かないことにはどうしようもない。

 でも、3人とも、既に限界だった。

 もうかなり長い時間緊張しっぱなしで、体力も底を尽きていた。

「だッ#○*け、す?ご〜っ%!」

 中村も山田も完全に脚が震えてしまって、まだ数10メートルはある校門へ走る用意はもうない。

 焦げ紫が信じられないほど濃くなって、私が思わず振り返りそうになったとき、

「走れっ!」

 どこからからか聞こえてきた男の人の声で、山田と中村は弾けるように飛び出した。
 私は必死でしがみつく。




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