過去ログ - 未来人「少し先の未来で、待ってるから」
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49: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/04(土) 22:59:59.99 ID:VUzEAQad0

 次の日、若干緊張しながら階段を上りきった私は、少し躊躇うように、ゆっくりと廊下を歩いて、教室に向かった。

 扉の前に立つ。

 そういえば、なんで化け物は川田の見た目をしていたんだろう。
 そして、どうして学校まで来たんだろう。

 川田は死んでしまったはずなのに、それでも川田を学校で見た、というのは、
 うまく表現できないようなショックを私に残していた。

 まあ、偶然、未来人の粒子とやらを辿っていたら、ここに来たんだろうな。

 自分にそう言い聞かせることにした。

 松葉杖に体重を傾けて、右手で扉を開こうとすると、教室から、いい香りがした。

 私は少し急いで扉を開けて、それから教室の中を覗き見る。
 教卓の上には、未来人がいた。

 体育座りをしたまま、彼女は窓際の席を見ていた。
 それから、私に気づいて、すぐに目線を空に移した。

「プレアデス星人は、季節ごとに雲の色を変えるようにしたんだよ」

 私は「へぇ」と頷きながら、自分の席に荷物を降ろした。

 それから、未来人がさっきまで見ていたのであろう席に座った。川田の席だった。

 未来人に聞きたいことがいろいろあったけど、私は、それより先に、座った机の引き出しを開けた。

 ヘアピンが、中に入っていた。川田のお気に入りだったヘアピン。

 これを川田に返さないと、と思った。

「なに、それ」

 未来人が呟いた。

「忘れ物」

 私は答えた。



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