1:名無しNIPPER[saga]
2017/02/03(金) 20:23:14.28 ID:uFUXzjsH0
暗く、深い水面を見ていた
広すぎて何も見えない夜の海
ふわふわとした空間に、見知った顔が目まぐるしく流れていく
向けられる多様な表情
語りかけてくる言葉
ただ、見つめている
SSWiki : ss.vip2ch.com
2:名無しNIPPER[saga]
2017/02/03(金) 20:25:57.20 ID:uFUXzjsH0
気付けば水の中にいた
まるで引きずり込まれるかのように
3:名無しNIPPER[saga]
2017/02/03(金) 20:27:53.61 ID:uFUXzjsH0
息ができない
「…」
4:名無しNIPPER[saga]
2017/02/03(金) 20:29:21.15 ID:uFUXzjsH0
「飛鳥、起きろー」
二宮飛鳥「……んぅ」
5:名無しNIPPER[saga]
2017/02/03(金) 20:31:33.43 ID:uFUXzjsH0
――――
――
飛鳥「…おはよう、プロデューサー」
P「おはやくねっつーの。また遅くまで起きてたな?」
6:名無しNIPPER[saga]
2017/02/03(金) 20:34:42.95 ID:uFUXzjsH0
近頃の自動車は、本当に静かで感心するね。走行中とは思えないほどの静寂も、今のボクにとっては子守唄。眠りへと誘った犯人はきっとコイツに違いないだろう。
つまるところ彼を運転するプロデューサーにも責任があり、故にこれは仕方のないことなのだ。
…なんて。寝起きの頭で抗議してみたところで、支離滅裂すぎて何の弁護にもなりやしない。
7:名無しNIPPER[saga]
2017/02/03(金) 20:36:53.00 ID:uFUXzjsH0
P「全く、誰の影響受けてこんな自堕落な学生になっちまったんだか」
飛鳥「…ム、それは聞き捨てならないな。ボクは昔から夜更かししていたんだ。そんじょそこらの不良学生とは一緒にしないでくれ、年季が違う」
P「威張れることじゃないぞ」
8:名無しNIPPER[saga]
2017/02/03(金) 20:39:01.62 ID:uFUXzjsH0
P「ま、俺も人のこと言えん学生だったしなぁ」
飛鳥「へぇ?」
P「夜遅くまで起きてて、朝イチの授業に寝坊とかしょっちゅうだった気がする」
9:名無しNIPPER[saga]
2017/02/03(金) 20:40:43.04 ID:uFUXzjsH0
車で寝てしまった時は到着の10分程前に起こされた後、少しの軽口を交わして目を覚ます。
この一連がボクらの恒例となったのは、果たしていつからだったろうか。あまりにも心地よく日常に溶け込んでいるせいか、始めからずっとこうしていたかのような錯覚に陥る。
10:名無しNIPPER[saga]
2017/02/03(金) 20:41:47.47 ID:uFUXzjsH0
P「そうそう。さっきも言ったけど、今日は…」
飛鳥「『今日は迎えに来れないから帰りは1人で戻ってくれ』、だろう?」
P「おう。そんで…」
11:名無しNIPPER[saga]
2017/02/03(金) 20:43:24.84 ID:uFUXzjsH0
P「…」
飛鳥「?」
P「…。いや、何でもない。収録、頑張ってきてな」
12:名無しNIPPER[saga]
2017/02/03(金) 20:45:24.13 ID:uFUXzjsH0
飛鳥「…そうか」
P「飛鳥」
飛鳥「なんだい、プロデューサー」
13:名無しNIPPER[saga]
2017/02/03(金) 21:13:07.36 ID:uFUXzjsH0
――――――
「…次のお便りは、ラジオネーム『モグラホッパー』さんから頂きました。『始めましてみなさん、こんにちは。』こんにちは!『私は最近、悩んでいることがあります。どうやら寝つきが悪いようで、夜中に何度か目を覚ましてしまったり…」
所変わって、ここはラジオの収録スタジオ。今日はとある2人のラジオに、ゲストとして呼ばれている。1リスナーとしては少々鼻が高い。
14:名無しNIPPER[saga]
2017/02/03(金) 21:15:36.21 ID:uFUXzjsH0
「なるほどー。私は最近ストレッチしてるよ。柔軟とか」ポリポリ
「おー」ポリリ
「ちょっと体動かすとよく寝れる気がするんだ」ポポリポリ
15:名無しNIPPER[saga]
2017/02/03(金) 21:18:03.10 ID:uFUXzjsH0
2人のコンビネーションも相変わらずだ。番組が長く続いている理由も理解できる気がする。
飛鳥「そうだな…ボクも特別、意識してやっていることはないけれど。寝る前に本を読むぐらいかな」
16:名無しNIPPER[saga]
2017/02/03(金) 21:21:14.44 ID:uFUXzjsH0
「ダメじゃん!」
飛鳥「だからこそ、寝る前に読む本はよく選ばなくてはね」
17:名無しNIPPER[saga]
2017/02/03(金) 21:23:19.93 ID:uFUXzjsH0
「何歳だっけ?」
飛鳥「今年で20だね」
「若い!」
18:名無しNIPPER[saga]
2017/02/03(金) 21:25:39.96 ID:uFUXzjsH0
…そう、ヒトは急には変われない。
容姿が変わったからといって中身までもは変わらないし、成人したからといって急に大人になれるものではないのだ。
19:名無しNIPPER[saga]
2017/02/03(金) 21:27:21.76 ID:uFUXzjsH0
もらったケーキを少しずつ食べながら、耳に入ってきた『夢』というワードを脳で反響させる。
思い出すのは、幼き日からずっと見続けている夢。つい先ほども車の中で見ていた、あの夜の海。
見通しも立たず、言い様もない不安に包まて。
20:名無しNIPPER[saga]
2017/02/03(金) 21:29:28.36 ID:uFUXzjsH0
…ボクはあれから、オトナになれたのだろうか。もちろん身体だけでなく。
何か変わったと、探していた何かは見つけられたと、果たして胸を張れるだろうか。
21:名無しNIPPER[saga]
2017/02/03(金) 21:31:44.85 ID:uFUXzjsH0
「ま、夢だしそんなものだよね」
「でもさ、深層心理?だっけ。自分の欲求とかは夢に出るっていうよね」
飛鳥「…」
71Res/44.66 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。