63: ◆uOvLrY0GJA[saga]
2017/02/06(月) 17:47:27.59 ID:Qo87QQLY0
「ほらお前らー、席に着けー」
言いたいことはあるけど、さすがに先生の前でおしゃべりするわけにはいきません。
仕方ない、ホームルームの後で話そう。
そんな風に思っていたら、先生が教卓に封筒を取り出して、こう言いました。
「先週のテストが返ってきたから、名前を呼ばれたら取りに来てくれー」
あ! あのテストのこと、すっかり忘れちゃってた……。あんまり出来なかったから見たくないなぁ。
何人かのクラスメイトが先生に呼ばれるのを見ながら、どうか一問でも多く当たっていますようにっ、
と心の中でお祈りをしていました。
「次、乙倉」
「は、はいっ」
席を立ち上がって、先生からプリントを受け取ります。
点数は……うぅ、五十七点。この範囲は苦手だなぁ……。
わかってはいてもこうやって点数になって返ってくると、やっぱりがっくりしちゃいます。
とぼとぼと席に戻ると、ななめ前から声がして。
「(悠貴ちゃん、何点だった?)」
「(……笑わない?)」
「(そんなことしないって!)」
「(えっとね、五十七点……)」
ううぅ、やっぱり恥ずかしいっ。教えなければよかったかなぁ……。
そう考えながら、もじもじとしていたそのとき私は知らなかったのです。
もしそうしていれば、どれだけよかったのかを。
そしてその子はこう褒めました。
「(うん! やっぱりそれも、可愛いね!)」
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