過去ログ - 千川ちひろ「Where is my green door ?」
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10:名無しNIPPER[sage saga]
2017/02/05(日) 23:15:21.61 ID:U9T8Y7Al0


「はぁ……つ、疲れた……」

 その日はほんとうに散々でした。いつもならしないようなミスばっかりして、アイドルの娘達からも「ちひろさん……大丈夫?」って何度聞かれた事やら。
以下略



11:名無しNIPPER[sage saga]
2017/02/05(日) 23:16:00.25 ID:U9T8Y7Al0
「お、お疲れ様です……。遅くまで大変でしたね」

 朝よりは平静さを取り戻せているようで、なんとか見苦しくはない受け答えが出来たと思います。

「えっと……その……」
以下略



12:名無しNIPPER[sage saga]
2017/02/05(日) 23:16:41.18 ID:U9T8Y7Al0
「なので、昨日の事は無かったことにして、お互いいつも通りに戻りましょう」

「あ……はい……」

 無かったことに、という言葉をプロデューサーさんの口から聞いて、ものすごく身勝手ですけど悲しい気持ちになりました。本当に身勝手な女ですよね。
以下略



13:名無しNIPPER[sage saga]
2017/02/05(日) 23:17:17.32 ID:U9T8Y7Al0


 子供の頃の話です。外で遊んでいた私は、家への帰り道で「緑のドア」を見つけたんです。

 早く帰らないと怒られてしまうので、近道するために空き地を通り抜けたんです。そこに「緑のドア」はあったんです。
以下略



14:名無しNIPPER[sage saga]
2017/02/05(日) 23:17:52.39 ID:U9T8Y7Al0


「その後、私の帰りが遅いのを心配した両親に、空き地で倒れているところを発見されて、こっぴどく叱られたんです」

 一気に話し終えてからプロデューサーさんの方を向くと、案の定顔中に疑問符が浮いていました。
以下略



15:名無しNIPPER[sage saga]
2017/02/05(日) 23:18:22.81 ID:U9T8Y7Al0
 マグカップにコーヒーを淹れて、デスクに戻ると先ほどと同じ姿勢のままでプロデューサーさんは考え込んでいました。

「はい、コーヒーです」

「あ、ありがとうございます」
以下略



16:名無しNIPPER[sage saga]
2017/02/05(日) 23:19:11.77 ID:U9T8Y7Al0
「私とプロデューサーさんって昔に会ってますよね?」

 今更ながら気づいたんですが、この事務所で会う以前にプロデューサーさんと私は会った事があります。それも、多分この容姿に見覚えがあるのでここ数年くらいに。

「え……? んん……?」
以下略



17:名無しNIPPER[sage saga]
2017/02/05(日) 23:19:41.65 ID:U9T8Y7Al0
「っ……」

 その指輪を見た瞬間、私はあの「緑のドア」の先で見た光景を思い出しました。

 私は、「緑のドア」の先でプロデューサーさんと一緒になる光景を見ていたのです。
以下略



18:名無しNIPPER[sage saga]
2017/02/05(日) 23:20:12.42 ID:U9T8Y7Al0


 私が泣き明かしたあの夜、私はプロデューサーさんの告白を受け入れました。

 アイドルのみんなには悪いと思ったのですが、ずっと探していた幸せを見つけてしまった私はその幸せから目を背ける事は出来なかったのです。
以下略



19:名無しNIPPER[sage saga]
2017/02/05(日) 23:20:44.40 ID:U9T8Y7Al0
「じゃあ、行きましょうか」

 真っ白なタキシードに身を包んだプロデューサーさんが手を伸ばします。

「はい」
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