過去ログ - 武内P「女性は誰もがこわ……強いですから」
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104: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2017/02/25(土) 08:18:00.57 ID:WJENpIb/0
「……」


私はただ、阿呆のように呆然と入口に片手を伸ばしたまま硬直するだけです。

何が、いけなかったのでしょうか。
何が原因で、こんな最悪な事態へと話が転がって行ったのでしょうか。

あまりにも様々なことが起こり過ぎて、一周回って空しさすら覚える心境に合わせたかのように物悲しいメロディが社内に響きます。
窓を見れば薄暗く、終業時間だとわかりました。

デスクの上に置いていた携帯が鳴り響きます。
動くことに億劫さを覚えながらなんとか手に取ると、着信は親しい同期からでした。


「……もしもし」

『武内。今日はもう上がれるか』


着信に出た自分の言葉は、我がことながら驚くほど生気が無く――同期の声もまた、同じぐらい覇気が欠けていました。


「ええ、今日はもう上がれます」


やるべき仕事は残っています。
しかし仕事をする気力は根こそぎもっていかれました。
明日死にもの狂いで取り組めばなんとでもなるので今日はもういいです。


『そうか。じゃあ駅前で飲まないか? 色々と、お前に愚痴りたいことがあってさ』

「望むところです」

『……お前も、色々あったんだな。俺もさ、まゆは婆ちゃんとまで会ってたらしくって、また婆ちゃんがまゆのことえらく気に入ってんの。死ぬ前にお前がこんなにいい子と結婚するのを見れるなんてとか言いだして……ああ、すまん。ここから先は向こうでしよう』


会話を終えると、少しだけ活力が戻っていることに気づきました。
自分よりボロボロなのに立ち続けている者を見れば、この程度で諦めるなんて恥ずかしいと気合いが入るものです。

――彼と私、果たしてどちらの方がボロボロなのかはわかりませんが。

帰宅の手続きをしながら、そんな益体も無いことを考えてしまいました。


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