過去ログ - 武内P「女性は誰もがこわ……強いですから」
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273: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2017/03/11(土) 11:40:39.31 ID:23pDOjCz0
「でも、今回のことでハッキリしたね」

「何がですか?」


渋谷さんは手を後ろに組みながら背筋を伸ばし、正面から向き合っていた状態からやや斜めに体勢を変えられました。


「プロデューサーの彼女や奥さんになる人は、普段からプロデューサーが他の女に強引に言い寄られて浮気するんじゃないかって気が気でないよ」


それは考えもしなかったことでした。
浮気という愛する女性を傷つける行為などするつもりは毛頭ありませんし、できるほどモテませんし器用でもありません。
しかしここ数日のことを鑑みると、もし私に彼女や妻がいたならば浮気を疑ったかもしれませんし、そこまではいかなくとも気が気でなかったでしょう。


「だからプロデューサーの相手は、プロデューサーとこれまで苦楽を共にして深い信頼関係があって些細な事じゃ疑ったりしない人。それに普段からそばに居て周りの女にけん制できる、そんな強い人じゃないと」


渋谷さんが長い黒髪をかき上げます。
サラサラという音が聞こえそうな流麗な流れは、一つ一つが黒い輝きの軌跡を生み出しました。

その光景に見惚れながら、自分は将来のパートナーにそんな負担をかけることになるのかと思いつつ、ここ数日のことを振り返りました。


「大丈夫ではないでしょうか?」


それは自分のモノとは思えないほど、他人事のように気負いのない声音でした。


「大丈夫って?」


言いすぎたと心配してかチラチラと私を見ていた渋谷さんが、驚いたのかマジマジと私を見ます。

ここ数日、私の言い方が悪かったのもありました。
推測が間違っていたのもあるのでしょう。
しかし私が抵抗しようとしたのに、あっさり押し切られたのも事実。

渋谷さんが言うとおり、私の将来のパートナーに逞しさが求められるとしても――





「女性は誰もがこわ……強いですから」


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