24: ◆VnQqj7hYj1Uu[saga]
2017/02/14(火) 23:46:33.55 ID:YuI0VY3M0
 『千早か。どうかしたのか?』 
  
 「いえ……大したことでは、ないのですが……」 
  
 「その……少し、声が聞きたくなってしまって」 
25: ◆VnQqj7hYj1Uu[saga]
2017/02/14(火) 23:47:18.98 ID:YuI0VY3M0
  
  
 考えたくなかったけれど、やはりプロデューサーはいなくなってしまうのだ。 
  
 たかが一年。 
26: ◆VnQqj7hYj1Uu[saga]
2017/02/14(火) 23:48:10.35 ID:YuI0VY3M0
  
  
  
 『……どうした?』 
  
27: ◆VnQqj7hYj1Uu[saga]
2017/02/14(火) 23:49:26.25 ID:YuI0VY3M0
 『……千早』 
  
 『俺だって……もっと千早の、みんなのそばにいてやりたいって思ってる』 
  
 『でも……今の俺じゃ、まだ足りないんだ。もっとみんなを輝かせるためにも、俺は行かなきゃならない』 
28: ◆VnQqj7hYj1Uu[saga]
2017/02/14(火) 23:50:10.98 ID:YuI0VY3M0
  
 「……もう」 
  
 「そんなこと言われたら……引き止められないじゃないですか」 
  
29: ◆VnQqj7hYj1Uu[saga]
2017/02/14(火) 23:50:49.20 ID:YuI0VY3M0
  
  
 『じゃあ、そろそろ……』 
  
 「ま、待って下さい!」 
30: ◆VnQqj7hYj1Uu[saga]
2017/02/14(火) 23:51:24.49 ID:YuI0VY3M0
 ……でも、このままじゃダメ。 
  
 やっぱり、このことは……直接伝えなきゃ。 
  
 「あ、あの。プロデューサー」 
31: ◆VnQqj7hYj1Uu[saga]
2017/02/14(火) 23:52:13.02 ID:YuI0VY3M0
  
 …… 
  
  
 電話で色々と話をしている間に、かなりの時間が過ぎていたらしい。 
32: ◆VnQqj7hYj1Uu[saga]
2017/02/14(火) 23:53:28.35 ID:YuI0VY3M0
 少しだけ息を切らしながら立っている彼に、私は話しかける。 
  
 「呼び出してしまってすみません。まだ少し、お話ししたいことがあったんです」 
  
 「このことは……電話では、どうしても話したくなくて。直接、お話ししたかったんです」 
33: ◆VnQqj7hYj1Uu[saga]
2017/02/14(火) 23:55:28.46 ID:YuI0VY3M0
 ぼんやりと輝く月明かりの中、私達はしばらく公園の中を歩いた。 
  
 夜の公園に人影はなく、いるのは私達だけ。 
  
 踏みしめた土が立てる音だけが、辺りに響き渡る。 
34: ◆VnQqj7hYj1Uu[saga]
2017/02/14(火) 23:56:12.96 ID:YuI0VY3M0
 ……そういえば、確かに私から行動を起こすことは、あまりなかったかもしれない。 
  
 休日に何かをしに行くときも。 
  
 別れを告げられた……あの日も。 
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