過去ログ - 【DQ7】マリベル「おやすみなさい ミントちゃん。」【後日談】
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6: ◆N7KRije7Xs[sage saga]
2017/02/15(水) 21:15:57.56 ID:gIQCDsCn0

マリベル「トパーズ。」

トパーズ「…………………。」

“トパーズ”と呼ばれたのは二月ほど前の航海でひょんなことから仲間になったオスの三毛猫で、
アミット漁が終った後、少女によってこの家の飼い猫として新たに迎え入れられていたのだった。

マリベル「……あの子は あっちの部屋かしら。」

膝に前足をかけて立ち上がる三毛猫を抱きかかえ、少女は自分の大きな部屋を見渡す。
どうやらもともとこの家で飼われていたもう一匹の猫は両親の部屋で寝ているらしい。

トパーズ「な〜お。」

マリベル「ん〜?」

三毛猫の言葉を流しながら少女は化粧台の前に座る。

マリベル「今日は 何を しようかしらねー。」

そう言いながら少女は鏡に映った自分を覗く。

その首元にはきらりと光る涙の形をした真珠があった。

それは少年が少女に託したもう一つの両親からのお守り。

マリベル「…………………。」

あれからというものの少女はほとんど肌身離さずにこの垂れ飾りを付けていた。
少年が漁に出ていない間もこれを見ればたちまちに寂しさが和らいでいくような気がしていたからだ。

マリベル「うふふっ。」

そうして一人真珠を見つめては頬を緩ませる少女だったが、ふと自分の顔を眺めた時、とあることに気が付く。

マリベル「……やだっ クマ できてるじゃない。」

ここのところ少女はあちらこちらへと飛び回り、夜には遅くまで少年と談笑して過ごしていたためか顔には疲労の色が見え始めていた。

今朝の様に早起きをしたこともまたその要因の一つ。

マリベル「う〜ん 今日は ゆっくりしてた方が いいかしらね……。」

鏡の向こうの自分と相談する。

*「……。」

話し相手は黙って頷き、少女の言葉を肯定してみせた。

マリベル「……そうよね。たまには のんびり 家で過ごしても いいわよね〜。」

そう言って少女は立ち上がり、今度は自分のベッドへと腰掛ける。

マリベル「おいで トパーズ。」

トパーズ「なう〜。」

床でゴロゴロしていた三毛猫は少女に呼ばれると、その広げられた両腕の中にすっぽり収まるように飛びついてきた。

マリベル「あんたも すっかり ウチに 慣れたわね。」

トパーズ「…………………。」

少女の言葉には答えず、三毛猫はその膝の上で撫ぜられるがままにしている。

マリベル「…………………。」

そうしてしばらく猫の毛の感触を楽しんでいた少女であったが、単純な作業の繰り返しのせいか次第にその瞼が重たくなるのを感じていた。

マリベル「う…うん……。」



気付けば少女は三毛猫を抱えたままベッドに横たわっていた。

マリベル「…スー スー……。」

まだ東の空を太陽が昇りゆく中、まるで導かれるように少女は眠りへと落ちていくのだった。





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