4:名無しNIPPER[saga]
2017/02/16(木) 23:25:29.57 ID:LGAxRdjco
  
 「実は──翼が、黒ずんでいるんです」 
  
5:名無しNIPPER[saga]
2017/02/16(木) 23:25:56.47 ID:LGAxRdjco
  …………………。 
  ん? んん?? んんん??? 
  目を何度か擦る。何を言っているのか理解が及ぶよりも前に──いやもう本当にそれ以前の問題としてなんだかとても衝撃的な光景が広がっているような。 
  智絵里の背後に何かある、というか、背中から直接何か生えているような。なんとなく黒ずんでいるように見える白い翼のようなものが生えているような。 
6:名無しNIPPER[saga]
2017/02/16(木) 23:26:25.74 ID:LGAxRdjco
  いや、いやいやいや。 
  そんなバカなことがあるはずない。人間に翼は生えていない。羽なんてない。 
  だいたい、智絵里はまだ翼が黒ずんでいるんです、と言っただけだ。何の翼がとは言っていない、自分に生えた翼だなんて言っていない。きっと小道具の翼が汚れてしまったとか、そういうあれで。 
7:名無しNIPPER[saga]
2017/02/16(木) 23:26:52.75 ID:LGAxRdjco
  
  ぱたぱた。ぱたぱた。 
  
8:名無しNIPPER[saga]
2017/02/16(木) 23:27:19.32 ID:LGAxRdjco
  …………………。 
  羽ばたいてるー!? 
  
9:名無しNIPPER[saga]
2017/02/16(木) 23:27:45.95 ID:LGAxRdjco
  今目撃している光景がはたして現実なのか、もしかして全て夢だったりするんじゃないか。そういや今日はまだお昼寝していなかったし、こんなに良いお天気なのにお昼寝していないなんてそれこそ嘘みたいなお話だしきっと夢だそうだ。 
  つねり。 
  痛い。 
  つまり夢じゃなかった。 
10:名無しNIPPER[saga]
2017/02/16(木) 23:28:11.92 ID:LGAxRdjco
  こうなってしまえばもう現実を受け入れなければならない。幸いにも辛く悲しいものではない、どちらかと言えば幸福なものかもしれない。 
  何せ美穂が今見ているものは──天使の翼、かもしれないのだから。 
11:名無しNIPPER[saga]
2017/02/16(木) 23:28:38.85 ID:LGAxRdjco
 「あの、私どうしたら……!」 
  
 「ごめん智絵里ちゃんちょっと待ってほしいかな」 
  
 「はい。……あ、わっかも少し黒ずんでる。拭いとかなくちゃ」 
12:名無しNIPPER[saga]
2017/02/16(木) 23:29:05.43 ID:LGAxRdjco
  智絵里の頭の上に金色に光るわっかが突然何もない空間から出てきたけど今さら気にすることではない。頭の上からひょいと動かしてハンカチで拭いたら簡単に汚れが取れていってるけど気にすることではない。気にしちゃいけない。 
  これ以上は処理が追いつきません。 
  美穂は智絵里から目をそらして、心を落ち着けるために深呼吸をする。 
  吸ってー、吐いてー。 
  吸ってー、吐いてー。 
13:名無しNIPPER[saga]
2017/02/16(木) 23:29:37.12 ID:LGAxRdjco
 「智絵里ちゃん。……えっと、その、翼が黒ずんでいるんだよね?」 
  
 「はいっ、そうなんです! 私、もしかしてこのままだと堕天しちゃうんじゃないかって不安で──」 
  
  蘭子ちゃん以外から堕天なんて言葉をまさか聞くとは思わなかった。 
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